お仕事日録

ボストンテリアのやんちゃ坊主、虎君が大人しい颯太君を残して旅立ちました。

【金沢市】ボストンテリアの虎君のお見送りをお手伝いさせていただきました。

 

☆ ご葬送録

 

金沢市四十万の、8歳のボストンテリア、虎君が旅立ちました。

 

 

ご家族様と虎君との出遭いには忘れられないお話があります。かつてご夫妻のもとにはボストンテリアの虎太郎君がいました。その虎太郎君を亡くされ、寂しい思いを抱えていたママ様は、ふと立ち寄ったペットショップで 同じボストンテリアの小さな赤ちゃんを見つけます。あかちゃんのお顔に虎太郎の面影を重ねてしまったママ様にはもう躊躇うことすらありませんでした。ご夫妻はすぐにその可愛い赤ちゃんを家族の一員に迎えられたのです。

 

赤ちゃんは、虎太郎君のお名前から一文字だけ受け継いで「虎」と名付けられました。こうして虎君は、先住犬のチワワの颯太君、フレンチブルドッグの杏(あんず)ちゃんとともにひとつ屋根の下で暮らし始めました。

 

私どもが初めて虎君にお会いしたのは、杏ちゃんのお見送りの時でした。あの頃の虎君は、優しくてしっかり者のお姉ちゃん、杏ちゃんをてこずせるほどのやんちゃ坊主でした。そんな虎君ですが、杏ちゃんが旅立った後はチワワの颯太君とふたりきりに。遊ぶことが大好きで活発な虎君と大人しく穏やかな颯太君。颯太君と遊びたくて仕方がない虎君でしたが、その勢いに圧倒された小柄な颯太君が突き飛ばされてしまうこともしばしば。なかなか気の合う兄弟にはなれなかったようですが、パパ様とママ様がお仕事から帰られるまで毎日一緒にお留守番をしていたようです。

 

そんな日常を一変させたのは、虎君の心臓に腫瘍が見つかったことでした。心臓という難しい場所だけに手術は容易ではなく抗がん剤による治療も困難で、さらにはその腫瘍が別の部位に転移していることも判明したのです。ご夫妻は、熟考の末に少しでも虎君が楽に過ごせるようにと緩和ケアを選ばれました。ママ様は、虎君を連れて丸山ワクチンの接種にもこまめに通われました。出来うる限りのことを試み、時間の許す限り虎君に尽くされ、それでもなお、病気の虎君をお家に残してお仕事へ向かわなければならないママ様。当時のママ様はどのような思いでいらしたのでしょう、思い馳せるほどに胸が締め付けられます。そして当の虎君もまたママ様の懸命な看護に応えようと精いっぱい頑張っていたのです。

 

そしてとうとうお別れの時が訪れます。ママ様がお仕事から帰宅されると虎君は見るからに辛そうでした。ママ様が虎君の容態を見守っていると、今度は、パパ様がご帰宅されました。その後、程なくして虎君の容態が急変、徐々に息が浅くなっていく虎君、最後はすーっと眠るように穏やかに息を引き取りました。まるで大好きなおふたりが揃うのを待っていたかのような最期でした。

 

「お拭き清め」の折り、ママ様がぽつりと「後悔はありません。できる限りのことはしました」と 仰いました。虎君の病気と向き合い、治療の可能性を探しながら少しでも穏やかに過ごせるようにと尽くされたご夫妻の日々。そのお言葉には、喪失感のなかにも虎君に向けるゆるぎない愛への確かな自信とやり遂げた自負が感じられました。

 

お別れのセレモニーでは、お経が響くなか 颯太君はソファーにちょこんと座ったきり 大人しく過ごしていました。そんなお別れのひとときに思わず笑みがこぼれる出来事がありました。

 

お取りよけしていたはずのお弁当が少なくなっているではありませんか。ふと気付いた時、「虎君の天国へのお弁当が減っているのは、実は颯太の仕業なの」とママ様はそっと教えてくださいました。虎君のために用意されたお弁当を颯太君がいつの間にか食べてしまっていたのです。それでも、颯太君、先程からお行儀よく正座し、何食わぬ顔で一番前列でお別れ式に参加しているのです。お辛い中にも、ふふっと笑わせてくれました。虎君と颯太君らしい、なんとも微笑ましい出来事でした。こんな気持ちにさせてくれるのもママ様のお言葉があったればこそなのかもしれません。

 

「私たちの帰りを待っていたかのようでした。私たちの顔を見て安心して旅立ったみたいです」ママ様はそう仰いました。ご夫妻が揃われた後、穏やかに旅立った虎君。その最期があまりに愛おしく胸に刺さったまま残っています。かつて虎太郎君とのお別れを経験され、その後も鈴ちゃん、杏ちゃん、そしてこのたび、虎君を見送られたご夫妻。そのお隣で、長く暮らしている颯太君も同様に大切なファミリーのお別れを重ねてきたのです。

 

これからもお家でパパ様とママ様のお帰りを待つ颯太君。彼の横には一緒にお留守番をしていた虎君の姿はもうありません。もう突き飛ばされることないけど、それも寂しいね。颯太君。

 

虎太郎君、鈴ちゃん、杏ちゃん、そして虎君。天国のみんな、どうかどうかこれからもパパ様とママ様、颯太君を空の上から見守っていてください。

 

虎君のご冥福を心よりお祈り申し上げます。