お仕事日録

ママに抱かれて最後のお別れ ボストンテリアのはなこちゃん

ボストンテリアのはなこちゃんはいつもの特等席でしょうか、リビングのどっしりとした椅子にまるで眠っているかのように横たわっておりました。奥様にご記入いただいたお申込書の病名欄には「脳炎」と記されています。脳炎とは文字通り脳の炎症のことで、脳や脊髄を包み保護している髄膜(ずいまく)に炎症が起きた状態は髄膜脳炎と言います。ワンちゃんの脳炎は猫ちゃんとそれと違い、非感染性のものがほとんどだそうです。主な症状としては、元気がない、食欲がない、ふらつく、うまく動けない、視覚障害、けいれん、意識状態の低下が挙げられます。我が家の先代犬も晩年、頭を傾け、同じところを旋回したりするなどの症状が見受けられましたが、あれもまた脳炎の症状のひとつみたいです。時に、急に悪化し、死に至ることも少なくない病気なのです。

 

 

お火葬の準備を終えて、はなこちゃんをお迎えにあがると、奥様は「最後に抱いていいですか?」とおっしゃられ、棺籠の中のはなこちゃんを両腕で抱きあげられました。奥様は今一度、自らの体全体で、はなこちゃんを実感しておられるようでした。もう抱くことも叶わないはなこちゃんを自らの感覚に刻み付けたい - 奥様のお気持ちが痛いほど伝わってまいります。お火葬は駐車スペースをお借りして行いました。その後、私どもで大きなトレイに全てのお骨を並べて先ほどのリビングへとお運びし、ご夫妻によるお骨上げが始まりました。ご夫妻は、一骨一骨、はなこちゃんとの想い出を噛みしめるようにご拾骨されました。

 

ご夫妻にご自宅でのお火葬をご提案させていただいて良かったと思います。慣れ親しんだご自宅からはなこちゃんは旅立つことが出来て、はなこちゃんも安心だったろうと思います。

 

天国で遊び疲れたら、いつでも里帰りしてくださいね、はなこちゃん。