ゴールデンレトリバーのショコラ君が旅立ちました。あと1ケ月で19歳のお誕生日を迎えるところでした。ショコラちゃんはここ2年ほど寝たきりでした。ゴールデンレトリバーは番犬には向かないと言われるくらい穏やかな性格が特長ですが、ショコラちゃんも違わず、元気な頃は誰にでも優しく接することのできる街で人気者のワンちゃんでした。
ショコラちゃんのママは私どものよく知るお方で、以前よりショコラが亡くなったら、是非 ご葬儀を私どもにお願いしたいと言われてました。弊社の火葬設備の都合上、大型犬の取り扱いには難しい点があり、通常はお断りをしています。であるにしてもショコラちゃんは今では体重も15kgを切るほどかなり痩せ細ってしまっているとのこと。私としても、どうだろうかとの思いを持ちつつ、それ以降 うやむやになってしまっていたのです。
あの日の早朝、ママさんから突然 お電話があり ショコラちゃんが亡くなったとの知らせを受けます。葬儀のご依頼ではありましたが、よくよくお話をお聞きすると、実はショコラちゃんが亡くなる前日、ママさんの実のお父様がお亡くなりになられ、本日お通夜とのことでした。一瞬、私は自分の耳を疑いました。ママさんは二重の悲しみのなか私どもにお電話くださったのです。ママさんの胸の内には大きな悲哀とともに不安と焦燥が渦を作っています。 ご依頼をお断りはできない、ママさんのお力になりたい、その思いで決断させていただきました。お父様のお通夜、ご葬儀の間中、ショコラちゃんをひとり放っておくことはとても出来ず、ママさんもまたその思いのもとに私どもに託されたのだと思います。
これまでずっと安定していたショコラちゃんでしたが、お父様が亡くなられた直後、あるいはその前後でしょうか、急に具合が悪くなります。心配になったママさんはかかりつけの動物病院へと連れていき、今後のことも先生に相談、そのうえでお父様のご葬儀が終わるまで病院でショコラちゃんを預かってもらい、ご葬儀が終わったらすぐにご自宅に連れて帰ることにして病院を後にします。そして、日が変わった朝の5時、病院から電話がありショコラちゃんが亡くなったとの知らせがママさんに入ります。まさかショコラちゃんが亡くなるとは。。病院からの帰途の車中、ママさんは同じ看護師のお嬢様にショコラが戻ったら点滴を始めようねとお話されていたのです。
ママさんとお嬢様にご参加しただき、ご清拭、ご葬儀がとり行われました。ママさんのご主人は自宅の隣に大きな敷地を所有しており、お火葬はその場所をお借りしてとり行いました。また電源はご自宅から引かせて貰いました。ショコラちゃんは細ってはいてもやはり大型犬です。炉内の温度にはかなり気を使いました。お火葬の所要時間も通常の倍近くかかりました。後になって考えれば、電源と広い敷地をお借り出来なければさらに難しい状況となっていたかもしれません。それでも何とか終えることが出来て私どもも安堵いたしました。その後、大きなトレイにお骨全てを移してご自宅にお運びし、ご家族様にはお骨上げをしていただきました。
ショコラちゃん。あなたのママの気持ちに応えることが出来て今は僕たちも本当にほっとしている。ところで、君。旅立つ日をこの日と決めたのはママやお嬢さんに何度も辛い思いをさせたくなかった、、だからお父さんと一緒に逝くことを決めたんだよね。ママさん、どうかどうかお心をお大事にお過ごしくださいませ。そして、あらためましてご尊父様のご逝去に接し心からお悔み申し上げます。