お仕事日録

お父さまを守ったミックス犬の小梅ちゃん

中型のミックス犬16歳の小梅ちゃんが老衰で亡くなりました。

 

小梅ちゃんは今年の6月に亡くなった猫の雪ちゃんの家族です。雪ちゃんのご葬儀の時には横になっている時間が多いながらも自らオシッコができる状態でした。あれから5ケ月、小梅ちゃんは大好きなお父様とお母様に看取られつつ「もう頑張らなくていいよ」とお父様の声に安心したかのように静かに息を引き取りました。

 

小梅ちゃんは美人で賢く 多くの方から愛されたワンちゃんでした。実は、小梅ちゃんは過去にご主人とのお散歩中に飲酒運転の車に撥ねられ大きな怪我を負いました。ご主人が路肩に駐車している車の横を小梅ちゃんと通り過ぎます。その時、ご主人は車の運転席で熟睡している人を確認されているのですが、その後、暫くして後方からなんとその車が猛スピードでぶつかってきたのです。不意を突かれたご主人と小梅ちゃんは飛ばされ倒れてしまいました。奇跡的に難を逃れたご主人は我に返り、小梅ちゃんに駆け寄りました。すると何ということでしょうか、倒れ伏している小梅ちゃんの右後ろ脚が飛ばされてしまっていたのです。

 

ご主人を守って右後ろ脚を失った小梅ちゃんでしたが、この大変な災いを乗り越えると徐々に元気を取り戻していきました。そしてその後、不自由ながらもご主人との日課のお散歩を再開させるのでした。タオルをお腹に巻いてご主人に上から支えてもらい3本足で歩行するのですが、一生懸命な小梅ちゃんです、お散歩の途中、その様子を見かけた道行く多くの方から声を掛けられ、毎日のように励ましの言葉をいただくようになりました。

 

ある日、いつものように小梅ちゃんはご主人と一緒にお散歩していました。ご主人が最寄りのとある商店に立ち寄るとそこで思わぬ嬉しいプレゼントを受け取ります。そのお店のお客様の中にお散歩中の小梅ちゃんをいつも見ていた年配のご婦人がおられ、その方が小梅ちゃんのために手作りのプロテクトを縫ってくださっていて、小梅ちゃんがお店の前を通りかかったら飼い主の方に渡してほしいとお店の人に託されていたのです。ご主人はお店に問い合わせるもその方は最後まで名乗り出ることはなかったそうです。ご主人はそのプロテクトを手に取ってお見せくださいました。使いやすくて それでいて手作り感のあるとっても素敵なプロテクトでした。それからはそのプロテクトを着けて歩けなくなる最後の日まで小梅ちゃんはお散歩を続けていたのです。ご主人からお話をお聞きし、私どもも心がじんわり温かくなりました。

 


お火葬は雪ちゃんの時同様、ご自宅前でとり行いました。遅くまで名古屋に出張中だったお嬢様ご夫妻もその足で駆けつけご葬送にお立合いくださいました。保護犬としてセンターからこちらのお家に貰われてきた時もお嬢様が最初に小梅ちゃんを選んだとお聞きしました。ご家族総意の候補としてはニ番目でしたが、一日違いで一番候補が先に貰われて、ニ番目だった小梅ちゃんが選ばれたのです。お嬢様が一番候補としていた小梅ちゃんはこうして良縁をいただいたのです。お嬢様に感謝だね。

 

天寿を全うできたのも、どんなことがあっても命の尊さを大切にされる素敵なご家族に出会えたからなのかもしれないね。小梅ちゃん!これからは雪ちゃんとともに天上よりご家族様をどうか見守っていてください。

 

今宵、瞬く星。あの星はご家族様のお守りとなった小梅ちゃんなのでしょうか。