お仕事日録

15歳のチワワ、ももちゃん 恵みの慈雨

15歳のチワワ、ももちゃんが旅立ちました。

 

飼い主さまからご訃報の連絡を頂戴し金沢の東に位置する高台の住宅街に出向きました。山の斜面を縦横に道路が整備され 道を挟んで家々が軒を連ねています。この日は曇り空に時折雨のぱらつくお天気となりました。ご依頼のお電話においてはお火葬はご自宅近くのお火葬に適した場所に移動してとり行うことになりました。

 

ご自宅前に到着するとこちらのご自宅でも全く問題なくお火葬が可能のように思えましたが、ご自宅を離れてのお火葬は、飼い主さまの、ご近所に迷惑をお掛けするのではないかと危惧されてのご要望でした。まずは玄関をお借りしてももちゃんのお拭き清めをとり行い その後ご家族さまにはお車にてお火葬場所までご移動いただく手筈となっていました。

 

ご自宅ではお母さま、お嬢さま、ご子息、おばあちゃまがお待ちでした。ももちゃんは白い籠のなか横たわっています。どうぞ安らかにお眠りください。ももちゃんに手を合わせて祈ります。

 

ももちゃんは心臓に持病を抱えていました。とは言えチワワには心臓の弱い子が多く 15歳というももちゃんの年齢を考えれば、老衰によりひとつの命が終わりを迎える時をここに迎えてしまった、ももちゃん場合はそう考えても充分納得がいく最期だったように思います。

 

弊社スタッフが丹念にお拭き清めさせていただいた後、ご家族さまにはもう直に触れることのないももちゃんの体を今一度拭き清めていただきました。可愛い肉球、いたずらな口元、艶やかな背中、ふさふさの尾っぽ、可愛いかった仕草や思い出のあれこれを清めを介して自らの記憶の中に閉じ込めようとされるご家族さま。悲しいけれども優しく厳かなひとときでありました。

 

その後、お火葬に適した場にどこかお心当たりがあればと思いご家族さまにお尋ねしようとしたところお母さまからはご自宅で出来ないかとあらためてお尋ねいただきました。私どもは充分可能であるとお答えいたしました。ご自宅以外のお火葬候補地については予めいくつか見つけてはおりましたが、この空模様の中、雨が強くなってはお立ち合いいただくにしてもご家族さまには不都合が生じ兼ねません。その意味でもより良いご選択だったようにも思えました。こうしてお火葬はご家族さま総意のもと急遽ご自宅にてとり行うことに相なりました。ももちゃんにとっても慣れ親しんだお家はかけがえのない場所であり、ももちゃんもきっとこの変更を喜んでいるのではないかと思います。

 

 

今夏は暑い日が続いています。そんななかで今日は降ったり止んだりの雨模様。日照り続きの夏に降る雨は涼しさをもたらしそれは大地に大いなる恵みを与えます。今日の雨のようにももちゃんもまた愛を注いでくれたご家族さまにきっと天上からの贈り物として幸せ叶える恵みの慈雨を降らせることでしょう。

 

炉前でのお別れにご家族さまは玄関の外にお出ましくださいました。ももちゃんの枕元にはご家族さまの手で色とりどりのお花が可愛く飾られました。ももちゃんもどこか満足げなお顔です。ただひとつ、お父さまにお立合いいただけなかったのが残念です。ご家族さま全員が揃われるお時間にお伺いすることが出来ず お父さまには申し訳なく存じます。それでもご家族さまには弊社をお選びいただき心より感謝申し上げます。ご用命いただきありがとうございました。

 

ももちゃんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。