お仕事日録

パグックスのしゅなちゃんがもたらした奇跡

我が家には愛犬がおります。名前はゆず、犬種はダックスとパグのミックス(パグックス)です。性格はおっとりしていてとにかく食いしん坊。身体はパグ寄りなのですが、お顔は絶妙に両方の犬種が混ざってユーモラスな感じもいたします。マズルはというと、長くも短くもなくてとっても可愛らしいお顔立ちなのです。今はもう14歳のおばあちゃんですが、お顔のお鬚が白くなる前の、10歳くらいまでは黒ラブのパピーに間違われるくらいでした。私たち家族は毎日この愛らしいお顔を見ては可愛い、可愛いと褒めちぎっていたのです。

 

この日の夜、私がソファーでうとうととしていたらいつものようにゆずが毛布に潜り込んできました。そして寝付くまで自らの手をぺろぺろ舐めはじめるのでした。そんな時、電話が鳴りました。ワンコちゃんの飼い主さまからのお火葬のご依頼でした。犬種を確認させて頂きますと なんとパグックスです。その他事前のお申込み事項を確認させていただき電話を切りましたが、その後しばらくして思い出したことがあったのです。それは過去のおぼろげな記憶、、愛犬ゆずが仔犬の頃にかかっていた獣医さんにかつて言われたことでした。「ついこの間、ゆずちゃんにそっくりな子が来てましたよ!もしかしたら姉妹じゃないのかな?」 確かあの日先生はそう仰ったのです。パグックスは珍しいので、ひょっとすると、とその時は思いながらも私どもはそのまま確かめることもなく今日に至っていたのです。

 

その日の午後、お火葬にご自宅に伺いました。その後、先ほどの予感はあっという間に確信に変わります。ふたりは間違いなく姉妹。出会った場所やその時期も、年齢も同じ。やはり例の獣医さんにも診てもらっていたとのことでした。そしてなにより安らかに眠るお顔も瓜二つなのです。お母さまとお話をさせていただくと、両手を並べて舐める癖や頭から発する塩昆布のような匂いも同じでした。お名前はしゅなちゃん。違いを探すとすれば、しゅなちゃんはゆずよりも一回り大きく、バリバリの短毛のゆずと違い毛並みはダックスに近く柔らかな感触でした。

 

ご家族さまは弊社のインスタをご覧になられ、ゆずの存在をはじめてお知りになられたようです。そんな経緯もお母さまからお聞きいたしました。お母さまはじめ、お母さまのお姉さまご夫妻とご子息さま。皆さまとても温かくて、しゅなちゃんはほんとうに幸せだったに違いない、そう実感した私どもでした。ご家族さまの温かさに触れて哀しみの中にもどこか優しい気持ちなりました。

 

 

お火葬はご自宅の隣のご家族が所有、営んでおられる駐車場でとり行いました。ご家族様に見守られる中、しゅなちゃんは秋晴れの空へと旅立ちました。どうか天国でゆっくりとお休みください。

 

このお仕事をしておりますとお別れの時はいつもその子に対する愛しさでいっぱいになるのですが、我が子とそっくりな姿形を目の当たりにすると、いつもとはまた違う、なんとも言えない思いが込み上げてまいりました。同じママのもとで生まれ幼くしてバラバラになった姉妹でしたが、生きて再会までは出来なかったものの、私どもにこのような機会が与えられ、こうして今、繋がったのです。こんなことがあるなんてまさに奇跡です。きっと、天国のしゅなちゃんが私どもを選んでくださったのだと思いました。

 

最後にお母さまから、「ゆずちゃんにはしゅなの分まで長生きしてほしい」というお言葉をいただきました。自宅に帰ると、ゆずは私の足下にやってきてクンクンと匂いを嗅ぎました。まるで再会を喜んでいるかのようにしっぽを振りながら目をキラキラさせてこちらを見上げてきます。ゆずに向かって今日の出来事やお母さまから預かってきたメッセージを言って聞かせると、ゆずは一生懸命耳を傾けているようでした。

 

しゅなちゃん。あなたのご家族からご縁をいただきほんとうに有難い思いでいっぱいです。しゅなちゃん。これからも大好きなご家族と我が家のゆずを見守っていてくださいね。奇跡を有難う。

 

しゅなちゃんのご冥福をお祈り申し上げます。

 

 

 

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ちなみに下の写真はゆずです。