13歳のトイプードル、はなちゃんが膵炎の合併症により天国へと旅立ちました。
小さくてとても可愛らしい女の子だったはなちゃん、かつてはその愛らしい容姿から繁殖犬として選ばれると何度か出産をも経験しました。しかし、ある時 はなちゃんが妊娠することが出来なくなったとブリーダーさんに判断されるや 繁殖犬の役目を終えると手放されることとなりました。そんな時にご縁が繋がり、はなちゃんは幸運にも現在のパパさまとママさまのお宅にお迎えされたのです。こうしてはなちゃんの新たな犬生が始まりました。
人のために繁殖犬として過ごしてきたはなちゃんでしたが、新しいお宅ではそれまでの生活とは180度 異なり、人の愛情に包まれて過ごすこととなりました。こちらの家族の一員となって以降の穏やかな日々は、はなちゃんにとっては異次元とも言えるくらいの、かけがえのない時間だったのではないでしょうか。晩年、はなちゃんは膵炎を患うこととなりましたが、最後の最後までご家族の深い愛情に支えられて過ごしました。そして年の瀬、ご家族さまに見守られる中、はなちゃんはついに天へと召されてゆくのです。
お葬儀の日。パパさま、ママさま、ご夫妻のお父さまとお母さま、ママさまのご友人がご自宅に集い、はなちゃんを心からの想いで見送られました。小雨の降る中、ご納棺を終えるといよいよ最後のお別れの時となりました。涙雨の中、炉に火が入ります。はなちゃんの行方を静かに見守るご家族さま、其々の思いを胸に抱いてさよならされるのでした。すると どうでしょう、空を覆っていた雨雲の切れ間からなんと青空が現れました。さらには雨雲を押しのけたその空には驚くなかれ可愛いはなちゃんと先代犬達にそっくりなちぎれ雲が浮かんでいたのです。葬儀の様子を撮影しておられたパパさまが最初に見つけられ、パパさまが雲を指さしママさまと皆さまに伝えておられました。パパ様に促され空を見上げたママさまのお顔にはこれまでにない穏やかな微笑みを蓄えておられたのです。どこか晴れやかで清々しいとっても素敵な笑顔 ー
ふとその時、私のなかで、ママ様のお父さまがご出棺の時に玄関の前で仰っていた言葉が蘇ってきました。「娘とはなちゃんはどんな時も一緒でした。お互い支え合っていたのです」とお父さまはそうおっしゃっておられたのです。きっと、はなちゃんはこの場に及んでもママさまを想い、哀しみの中にあってもママさまをなんとか支えようと先代の仲間たちとともに雲となってママさまを、ご家族の皆さまを笑顔にさせようしていたのかもしれません。はなちゃんたちはママさまのあの素敵な微笑みが大好きだったのでしょう。そしてママさまもまたそのはなちゃん達の気持ちを一番よく分かっているに違いありません。ママさまの素敵な微笑みが如実にそれを物語っているのでした。
はなちゃん。これまで愛を捧げてくれたご家族さまへの感謝の気持ちだったんだね。空の上から微笑みかけてくれてママさまはじめ皆さま、ほんとうに喜んでいるよ。ありがとう、はなちゃん。