お仕事日録

シャム猫のミックス、メイちゃんが旅立ちました。

シャム猫のミックス、メイちゃんが旅立ちました。

 

 

メイちゃんは11年前、お知り合いのお宅で生まれた5匹の仔猫の中からお母さまがお選びになられた猫ちゃんです。お母さまの娘となったメイちゃんは飼い主ご夫妻の愛情に包まれ日々過ごすなか 美しい成猫へと成長していきました。大きな病気をすることもなく常に元気いっぱいのメイちゃん、食べることが大好きでお父さまからこっそりおやつを貰ったり 大好物の焼いた鰯や鰹節をいつも美味しそうに食べていました。

 

お家にやってきてから10年余。あんなに元気だったメイちゃんに癌が見つかりました。病気との闘いにあけ暮れる中、メイちゃんの食欲はみるみる減退していきました。元気な頃とはうって変わって殆ど食べられなくなり、日に日に細くなっていきます。そして2月の半ばを過ぎた某日、とうとうその日を迎えます。春待たずしてメイちゃんは慣れ親しんだご自宅でご家族に見守られながら静かに旅立っていきました。

 

家族の皆が揃う日を選んだと聞いたよ、メイちゃん。最後はほんとうに辛かったね、どうかどうか今は天国でゆっくり休んでください ー

 

メイちゃんは頑張りました。そしてそれはお母さまも同様です。お母さまはこれまでどんな思いでメイちゃんをお世話されていたのでしょう、メイちゃんの苦しむ姿を目の当たりにしながらもどうにも出来ないもどかしさ。そんなお母さまのお気持ちに思い馳せるとどうにも胸が締め付けられます。

 

ご葬儀に伺ったこの日は寒波の最中でした。金沢では昨夜まで雪が降り続いていましたし、今朝も降ったり止んだりを繰り返していました。そんななかメイちゃんのご葬送に福井市内のご自宅に伺ったのです。お通しされた仏間ではメイちゃんが穏やかなお顔で眠っていました。お家の歴史を感じさせる仏壇に目礼し、メイちゃんに合掌。ご夫妻さまにお悔やみ申し上げ、その後、ご清拭、ご納棺と式次第を進行させていただきました。

 

お弔いの経では、この度は加えて弁財天を讃える「弁財天女尊和讃」とご真言も併せて唱えさせていただきました。実は仏壇横の床の間には弁財天の美しいお姿が描かれた大きな掛け軸が掛けられていますが、お母さまのお話ではこの掛け軸は先代からのお品とのこと。きっとご先祖さまもメイちゃんのお旅立ちを見守ってくれていたのでしょう。

 

ご出棺。ご家族様には炉前での最後のお別れに屋外にお出ましいただくと青い空が厚い雲を押し退けるように広がっていました。太陽の光はその温もりで悲しみに暮れるご家族様の心をそっと包み込んでいるようでした。炉台の棺籠に眠るメイちゃんもご夫妻さまに撫でられてどこかほっとしたお顔。程なくして炉に火が入るとメイちゃんは安らかなままに天へと上がっていきました。

 

ほんとうに幸せでしたね、メイちゃん。これからは大好きなお母さま、お父さま、ご家族さまを見守っていてね。