お仕事日録

小柄な黒猫、黒丸君のお別れ

ある穏やかな日、K家の小柄な黒猫、黒丸君のお見送りに伺いました。

 

 

ご依頼くださったのは奥様。当日ご自宅へ伺うと、ご主人と元気な柴犬ちゃんが迎えてくださいました。

 

黒丸君は仔猫の頃にご家族に保護されたそうです。私どもがお伺いしたときにはご病気の影響で少し痩せてはいましたが、凛とした表情が印象的でどこか気品のある佇まいで眠っていました。

 

「お拭き清め」にはご主人様とご子息が立合われました。黒丸君に優しく手を添え、優しく撫で清めるお二人のひとつひとつの所作にはご家族の深い愛情が込められていました。「とっても人懐こくて、かわいい子でした」とご主人様は微笑みながらお話しくださいました。黒丸君との穏やかで温かな日々がご主人の瞳の奥のスクリーンに映し出されていることでしょう。優しい微笑みがそれを物語っています。

 

「ご出棺」にもまたご主人様とご子息がお立合いいただきました。その静かな時間には長い年月を共に過ごした者だけが持つ固い絆がはっきりと感じられました。私どもは黒丸君をお預かりしてご自宅を後にしました。

 

黒丸君。少しだけご家族の元を離れるけれどもすぐに返してあげるからね。

 

黒丸君のご冥福をお祈りいたします。