チンチラのマリーちゃん、18歳と3ヶ月。長い年月をご家族の愛の中で大切に過ごしてきました。お父様、お母様、そして三人のお嬢様、そのご家族の中心には常にマリーちゃんがいました。
病気が見つかってから2ヶ月もの間、金沢にいらっしゃるお嬢様とお母様は毎日、マリーちゃんを連れて病院に通われました。
お母様の心の籠った看病のお陰でマリーちゃんは自力でご飯を食べるなど、一日そしてまた一日と懸命に生き抜いてきました。そんな中、ご遠方にお住まいのお嬢様もマリーちゃんに一目会いたいと帰省を決められました。
そしてとうとう お別れの日がやってきます。ご家族全員がお顔を揃えることとなったこのタイミングで、マリーちゃんは大切な家族との時間を終えて新たな旅路へと向かうのでした。
朝の木漏れ日が差し込む柔らかな光の中で行われたセレモニー。ご家族様の真摯にご焼香されるご様子に皆様とマリーちゃんとの深い絆が窺えました。同時にまた ご家族様のマリーちゃんに対する感謝の思いと深い愛情がこれでもかと言うほどに伝わってくるのでした。
炉前でのお別れ。お嬢様のおひとりはマリーちゃんにお顔を埋めるように号泣され、嗚咽の止まらむお母様やお嬢様方の背後ではお父様が目を腫らし 皆を労わりながらもマリーちゃんとの最後のお別れに臨まれました。
炉に火が放たれました。空が微かに揺らめき、おもむらにマリーちゃんが天へと向かおうとしたその瞬間、ふと視界に入るものがありました。ひらひらと青い蝶がどこからともなくやってきて、辺りを舞い始めたのです。神様のお使いか、はたまたマリーちゃん自身なのかは分かりません。ただその青い蝶はこの瞬間を静かに、そして確かに見守っているのでした。
こうしてマリーちゃんはゆっくりとした足取りで次の新しい世界へ歩を進めました。その旅路のお守りとなるのはご家族様から受け取ったたくさんの愛です。マリーちゃんは、天国にいても、あるいはまた地上に再び降りたつことになったとしても そのお守りを懐ろ深く忍ばせていることでしょう。
ママ、パパ、お姉ちゃん。かけがえのない愛をほんとにありがとう。これからも大切にします!そんなマリーちゃんの心の声は葉擦れの音と共にきっとご家族様の耳に届いているのではないでしょうか。幸せだったね、マリーちゃん。
マリーちゃんのご冥福をお祈りいたします。