お仕事日録

記憶のなかの宝 

 

うさぎのはむりんちゃんが旅立ちました。御年5歳のとっても小柄な女の子です。死因は乳がん。重い病気を抱えていたとは全く思えないほど綺麗なご遺体でまるで眠っているかのようでした。私どもでご家族様の手を借りながらお拭き清めをさせていただいた後、はむりんちゃんより年下の2歳の男の子とお母様には最後のお別れとなるご出棺にお立合いをいただきました。はむりんちゃんにさよならを言う僕ちゃんをみながらこの僕ちゃんの記憶のなかに はむりんちゃんとの思い出の断片がひとつでもいい、光を放つ宝として残ってくれはしないだろうか。私たちはそんな小さな望みを胸に抱きつつお火葬に向かいました。

 

不妊手術を受けていないメスのうさぎは子宮の疾患、乳がんになる確率が高いといわれています。生後10カ月までに卵巣を摘出した場合は乳がんのリスクもなくなるようですが、これらホルモン系の疾患は、概ね3歳くらいで発症しはじめ6歳でピークを迎え、10歳を超えるとその発症率は99%にまで達します。発症のリスクを考えるとやはり不妊手術は不可避なのかもしれません。しかしながら異常のない小さな体にメスを入れるのはやはり気が進なないもので、定期的な検診を行うことで疾患を早期に発見し処置することも出来ないわけではないとも考えられます。なかなか難しい選択です。ただ、犬や猫と違い捕食される立場であるうさぎはストレスに弱く ちょっとした環境の変化で病気になることもあり、また うさぎの特長として体に不調があっても隠す傾向があって 食物を受けつけないなどあきらかな症状が出るころには重症化していることも多いとのこと。いずれにしても専門家に聞くなど情報を集めてお決めいただくことしかなさそうです。