お仕事日録

港町の名もない猫ちゃん

私どもがお火葬のご依頼を受けて向かったのは加南地域の歴史のある港町。ご依頼主様は働き盛りの男性。昨夜、お電話があり、仕事帰りに猫を轢いてしまい、その猫の火葬をお願いしたいとのことでした。ご自宅に伺うとご依頼主である男性がお待ちになっておられました。傍らの箱の中には茶系の縞模様の大きな猫ちゃんが冷たくなっていました。見る限りにおいては、目立った損傷部分もなく事故で亡くなったようにはみえないほど綺麗なご遺体です。お火葬はご依頼主様のご自宅にほど近い堤防の近くでとり行いました。港町には多くの猫ちゃんが住んでいます。水揚げされた魚の残骸など餌となるものに容易にありつけるからなのでしょう。この猫ちゃんもこの街で自力で生きている多くの猫ちゃんのひとりなのでしょうか。

 

 

お火葬を終えると、お骨壺にご遺骨を収めてご依頼者様のご自宅にお持ちしました。ご依頼者様には、当方でお骨をお預かりし丁重に埋葬させていただく旨 お伝えすると、ご依頼者様はお骨を受けとりたいと言われました。自らがしっかりとご供養したいというお気持ちがあればこそ発されたご依頼者様の言葉だと存じます。車両に轢かれそのまま放置されている小動物を時折見かけることがありますが、この度のご依頼者様、当事者とはいえ、身銭を切って猫ちゃんを弔うそのお心に少なからず感銘を受けました。

 

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