若い頃のように体も思うように動かせなくなっていたチワワの女の子、メロンちゃんが17年の生涯を閉じました。晩年は目が見えなくお耳も聞こえなくなっていましたが、体重1.5KGの小さな体で本当によく頑張り生きてきました。
亡くなる前日の朝には壁とソファーの間に挟まって出られなくなっていたといいます。起きてこられた飼い主様はメロンちゃんの姿が見えないので家中を探し回り、ついにソファーの後方でじっとしているメロンちゃんを見つけ出したとのことでした。メロンちゃんは飼い主様に助け出されるまで後戻りも出来ずにじっと耐え忍んでいたようです。その翌日、飼い主様は体の具合の芳しくないメロンちゃんを病院に連れていきます。その後、メロンちゃんの体調も少し落ち着いたようなので飼い主様はメロンちゃんをお家に残して外の用事に出かけました。飼い主様が戻った時はメロンちゃんは既に亡くなった後でした。
私どもがお悔やみ申し上げると、飼い主様は意外にサバサバしたご様子で「メロンと17年間、思う存分 楽しい時を過ごしてきたから思い残すことはないし、全然、大丈夫!寂しくないよ」と申されました。そして「火葬は全て任せました」ともおっしゃられ、最後にメロンちゃんの下顎を指先で撫でながら最後のお別れをなさいました。「バイバイ!メロン」飼い主様のその声は潔くもあり、どこか寂しくもありました。それは私どもがそう感じただけなのかもしれません。ただ、飼い主様のおっしゃられた“思い残すことはない”とのお言葉には決して嘘はないと思います。メロンちゃんを家族の一員として最後までしっかりと手を尽くし守ってきた自負のようなものが飼い主様の声に感じられるのです。天寿を全うしたメロンちゃんにあっては、飼い主様の大丈夫!思い残すことはないとの言質がもしかすると一番嬉しく感じるところなのかもしれないと思いました。
ペットを飼う方の中には愛するペットちゃんが亡くなった時に多かれ少なかれ後悔や罪悪感を抱かれる方も少なくありません。かく言う私たちも先代犬を相次いで亡くした時は、ああしてあげれば良かった、こうしてあげるべきだったのにと、そんな心の状態にありました。そして、今この時も、昨今ペットを亡くし 後悔の念を抱き、罪悪感に苛まれている方もおられるのではないかと存じます。そんな方々に一つだけ言いたいのは、是非、ペットちゃんの望みや思いにどうか立ち戻ってほしいということ。生前 ペットちゃんに対してそうしていたようにです。
どうでしょう。亡きペットちゃんはあなたの今の姿にとても悲しんでいるのではないですか。天上のペットちゃんの心に今あるのは、あなたとの平和だった日常とあなたの笑顔だけで、何よりそれを望んでいるように思えるのです。今も心がチクリと痛い時のある私たちですが、そんな自分たちを肯定しつつ、こうして亡き愛犬の今の思いに心を馳せる日々を過ごすなか活力を取り戻してきたのです。飼い主様に、大丈夫!思い残すことはないと云わしめたメロンちゃん。彼女もまた思い残すことはないくらい幸せだったのだと思います。