金沢市内のとある住宅街の一角、猫ちゃんのお見送りのお手伝いをさせていただきました。亡くなったのは13歳のミックス猫 ソラ君。艶やかな純白の被毛に頭頂部と尻尾に茶色の斑点が鮮明で そのコントラストがとっても美しい猫ちゃんです。
ソラ君は腎不全を患っていました。腎臓病は老齢の猫ちゃんに多い病気です。以前のご葬送録でもお話しさせていただきましたが、人間の体には体内に侵入した細菌や異物を食べて病気にならないように守る免疫細胞が備わっており異物が侵入するとその働きが活発になって回復に向かわせようとするのですが、猫ちゃんの場合、その免疫細胞「マクロファージ」がうまく機能しないらしいのです。治療薬の完成もそう遠くないと聞いていますが、ソラ君もまたその創薬完成を前にして残念な結果となってしまいました。今は只々ソラ君のご冥福をお祈りするばかりです。
市内のど真ん中にあって意外なほど静かな路地の一角、ご自宅向かいの公園の新緑が目に眩しいくらいの一日となりました。お火葬は隣の広い駐車場でとり行うことになりました。ソラ君の体重をお計りすると5Kgを少し切るくらい。元気な頃はずっしりと重かったソラ君ですが、10Kgも体重を減らしてしまっていたようです。
お見送りには、今ほどお拭き清めの儀にご参加いただいたお母様と三姉妹のお嬢様方が立合われました。炉前での最後のお別れにご家族様はソラ君の枕元に綺麗なお花を飾られました。その後 ご懐妊されているお嬢様はご体調に異変があってはならないのでご自宅に戻られました。
厳かな中 お火葬は始まりました。ご家族様は其々の思い胸に天へと昇るソラ君を見送られました。皆のお気持ちを噛みしめながら架け橋を渡っていくソラ君、とても幸せだったと思います。お嬢様のおひとりが午後の時間よりお仕事が入っていてご拾骨までいていただけるかと心配しましたが、ご出社のお時間までに何とかご焼骨を終え、最後まで見届けたいとのお嬢様の思いに報える事が出来、私どももほっといたしました。
ご家族皆様で送り出してくれたこの日をソラ君は決して忘れることはありません。なぜなら、命を落とし もういつかのような無邪気な姿も見せられなくなってしまった自分にさえも今もこうして愛を注いでくれている、、、そんなソラ君にとっての今日という一日は、ご家族様に愛された幾年月の、ある意味、凝縮された一日とも言えます。ですからご家族様には寂しい時、悲しくなる時こそ楽しかった日々とともに今日という一日を思い出してほしいのです。最初は辛いかもしれません。でも、ソラ君にとってご家族様の愛で満たされる一日は言うまでもなくかけがえのない一日であり、それゆえにご家族様にとってもその日はかけがえのないないものに変わりはなく、だからこそその日の記憶はご家族様が自らをお癒しになる役割を持ち得る大切な思い出となり得るものと考えるのです。悲しいからといってソラ君を愛した自負にまでご家族様自らが蓋をする必要は全くありません。自負があるからこそ自信を持って恐れずに思い出してください。いつの日かきっと大きな癒しがその分倍々になって訪れる、、私はそう信じています。
このたびはご用命有難うございました。