真っ白な天使のようなチワワの男の子、さくちゃんが旅立ちました。享年4歳でありました。さくちゃんを死に至らしめた病は「多臓器不全」。何が原因でそうなったのかは飼い主様にも分からないようでした。診てもらっていた動物病院のドクターもはっきりとした原因は掴めなかったみたいです。
動物の身体には、何らかの病態が体内で発生し炎症反応が生じた場合、炎症反応が増強しすぎることのないよう ある程度ブレーキがかかるシステムが備わっています。しかしながら体内で様々な物質が放出されるなかで炎症を誘導したり、逆に炎症を抑えるようにしたりといったアンバランスが生じて制御不能な状態に陥ってしまうことがあります。その結果、肺や肝臓、腎臓、脳など複数の臓器にわたり様々な機能障害が生じてしまう、それが「多臓器不全」です。
お火葬を前にしてお父様から「こんなに若くして亡くなることって多々あるのですか」とのお尋ねがありました。こんなに早く別れが訪れてしまったことにどこかもやもやとした気持ちを払拭出来ずにおられるお父様。その悔しさ滲むご質問に私は一言、「少なくはないです」とだけお答えしました。
事実、少なくはないのです。ワンちゃんの場合、年齢を問わず明らかに犬種によって内臓を含め不具合の生じやすい部位があります。猫ちゃんの場合は若くて元気であるが故、不運にも壁に激突して命を落とすことも、またワンちゃんにはない感染症に罹ってしまい早くに亡くなってしまうことも多いのです。さくちゃんの場合もまた不運としか言いようがなく本当に残念でたまりません。ご家族様のお気持ちを考えると胸が締め付けられる思いです。
お火葬はご自宅の駐車スペースでとり行いました。ご家族様に見守られる中、さくちゃんは夜空へと昇っていきました。ご家族とともに過ごしたさくちゃんの4年間はとても幸せな犬生でした。同様にご家族様におかれてもとても濃密な年月だったと思います。お姉様とお二人のお兄様に囲まれて過ごした末っ子、さくちゃん。どうか安らかにお眠りください。
お火葬が終わる頃にはすっかりと陽が落ちて欅の神木で有名な神社の杜が異様なほど大きな影を作っています。夜空にはいくつもの星が瞬いています。さくちゃんは星々のひとつとなってこちらを見ているのか、ひと際輝く星がひとつ私の目に留まりました。
星が瞬く夜が明ければ光ある朝が待っています。さくちゃん。星の瞬く夜とともにカーテン越しに揺れる朝の日差しのような幸福がご家族様に訪れますようにと、夜には星になり瞬き 朝には木漏れ日となってご家族様を照らしお見守りください。明日はきっと晴れ。