ミニチュアピンシャーのドルチェちゃんが旅立ちました。
ご葬送のご依頼を承り、ご自宅に伺いました。ご自宅では飼い主様ご夫妻と三姉妹のお嬢様がお待ちでした。毛布から覗かせているドルチェちゃんは目鼻立ちの整ったとっても可愛らしいお顔で私どもを迎えてくれました。ご家族様にお悔やみ申し上げた後、プラン等のお申込内容をご確認させていただきました。その後 お拭き清めが始まりました。清めに露わになったドルチェちゃんの脚には大きな包帯が巻かれています。ドルチェちゃんは癌を患っていたのです。
昨年の6月、ドルチェちゃんに乳癌が見つかりました。その後の手術で癌を取り除き、時の経過とともに元気を取り戻しつつあったその矢先、今度は左脇の下に新たな癌が見つかります。おそらくリンパ節に転移したものと思われますが、10月の診断では既に癌は手の付けられるものではないとのことでした。その後、癌はみるみる大きくなり、左脚が着けないほどになりました。「新年は迎えられないかもしれない」先生はそうご家族様に伝えられました。年が明けても癌の進行は収まることなく10日近く経った昨日、とうとうドルチェちゃんは天へと召されていきました。ご夫妻は深い悲しみに時折、声を詰まらせながらもお話しくださいました。ドルチェちゃん、ほんとうによく頑張ったね。最後まで手を尽くしてくれたパパとママには感謝だね。
お写真で拝見した生前のドルチェちゃんの大きく可愛いお目目はお嬢様方にそっくりでした。まさにドルチェちゃんはご姉妹の4番目です。ご納棺時にもドルチェちゃんにお顔を寄せて咽び泣くお嬢様方。一番下の妹の、痛みに耐え続けた苦しみに思いを馳せて悲しむお嬢様方のお姿に目頭が熱くなりました。
お火葬はご自宅の駐車スペースでとり行いました。ご家族様がお集まりいただけるお時間でのご葬送でしたので既に日は落ちて辺りは暗くなっています。ご家族様の手でドルチェちゃんの枕元にお花が飾られお火葬が始まりました。ご家族様の思いを胸にドルチェちゃんは空へと昇っていきます。いつも優しかったパパとママ。いっぱい遊んでくれたお姉ちゃんたち。ご家族様の温もりとたくさんの思い出を抱えての旅立ちでありました。
お火葬が終わる頃、ご自宅で待機していただいていたご家族様にお集まりいただきました。私どもでご拾骨させていただくのですが、ご家族様にお骨のご説明をさせていただきながら全てのお骨を集めさせていただくこととなりました。ドルチェちゃんもご家族のことをみているのかな、、ふと見上げた空には幾つもの星が輝いていました。「ドルチェちゃんの仕業なのね」とお母様も冬晴れの夜空を見上げ仰いました。
確かにドルチェちゃんにはご家族様に伝えたい気持ちがあるようです。「みんな。みて、みて!綺麗でしょ。みんなから貰ったたくさんの思い出だよ。今までほんとうにありがとう、ほんとうに楽しかった」おそらくこんな気持ちだったのかと思います。あの散りばめられたお星さまはドルチェちゃんが濃紺のベルベットに広げたご家族様との想い出のようにも思えるのです。
ドルチェちゃんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。