リボンちゃん、12歳と11ヶ月。その長く尊い使命を終えて今、静かに天へと旅立ちました。
昨年、12年間もの長きにわたり盲導犬として多くの人の側に寄り添ってきたリボンちゃん。
しかしながら、引退後、肝臓のご病気を抱えていたこともあって、なかなか新しい受け入れ先が見つかりませんでした。そんなリボンちゃんに手を差し伸べられたのが、かつて元盲導犬のニック君を迎え入れ、今も同じラブラドールのファラちゃん、そして猫の湯助(ユースケ)君と暮らしておられるあの優しいご家族様でありました。
ファラちゃんは、最初の出逢いこそ戸惑ったものの ニック君とも大の仲良しになったという、とっても優しい子。私どももニック君の葬儀の時にお会いしているのですが、ほんとうに聞き分けのよい子でした。そんなファラちゃんですので、新米のリボンちゃんにも心を開くとふたりは寄り添って眠るほどの仲になったのだそうです。たった一年という短い時間ではありましたが、リボンちゃんはご家族の愛情に包まれ、毎日を穏やかに幸せいっぱいに過ごしてきました。
楽しいことが大好きで、ドライブも大好きだったリボンちゃん。これまで人のために懸命に働いてきた彼女はご家族から惜しみない愛情を受け取りながら安心した日々を心から楽しんでいたのです。
そんな矢先のこと ー お母様が体調を崩されるのでした。入院を間近に控えておられた最中、なんとリボンちゃんも体調も崩すと病状が急変するのでした。「家族の皆にはこれ以上は心配をかけたくない」 リボンちゃんはそう考えたのでしょうか、長患いをすることなく最後はご家族に見守られる中、そっと旅立っていったのです。
「もっとリボンを看病したかった。私が入院することを知って旅立っていったんです。可哀想なリボン。。」憔悴されたお母様のそんなお言葉が胸に刺さり悲しみは増すばかりありました。
リボンちゃんは最後の最後までご家族のことを想い続けていたのでしょう。優しいお母様、温かく場を和ませてくださるお父様、お母様を気遣うお嬢様、そしてリボンちゃんを家族として受け入れてくれたファラちゃん。リボンちゃんは皆の胸にたくさんの想い出を残し優しさに包まれるままにその生涯を閉じたのです。
そして今頃は、先に天へと旅立ったニック君と再会し、「私たちの家族、本当に素敵だったね」とふたりで微笑みながら語り合っているのかも。そしてリボンちゃんはこれからもニック君とともに空の上からご家族を見守ってくれるに違いありません。
リボンちゃん、どうか安らかに ー そして、これまで本当にありがとう。