お仕事日録

チワワ、さくらのすけ君。ご導師様はお父様

チワワのさくらのすけ君が亡くなりました。ご火葬に伺うと若いご主人がお出ましになられご自宅の居間に通されました。居間では10人余のご家族様が一堂に会し、ご僧侶様がお経をあげておられるまさにその最中でした。私どもは、はっとしてすぐに退室し、玄関で待つことにしました。しばらくするとご家族様に再び入室を促されあらためてご挨拶をさせていただくことに。さくらのすけ君は設えられた祭壇の奥の小さなベッドの上で上掛けからお顔だけ覗かせています。ご家族様に見守られて満ち足りた穏やかな面持ちでした。

 

謹んで合掌 -

 

ご依頼主であるお母様にプラン等のご説明をさせていただくなかで、お経をあげておられたご僧侶は、実はお母様の旦那様であり ご家族様の一員であることを知りました。お集まりになられている方々はご夫妻のお嬢様、3姉妹と其々の旦那様、それにお嬢様たちのお子様たちでした。お聞きすると、こちらのお宅はご長女ご夫妻のお宅で、ご僧侶ご夫妻は羽咋でお寺を構えておられるようです。実は、ご夫妻はさくらのすけ君のご逝去に荼毘に付そうとお火葬社を探しておられました。そんななか たまたま羽咋の実家に帰っておられていた、2週間ほど前に弊社にご火葬のご用命いただいた M・ダックスフントのココアちゃんのお母様に弊社を紹介いただいたとのことでした。そこでご夫妻はお嬢様たちのお住まいになられている金沢で、また、かつて飼い主であったご長女様のご自宅でご葬儀を執り行なうことにされたのでした。

 

ご僧侶ご夫妻のご自宅はココアちゃんのお母様のご実家の目と鼻の先にありご交流も盛んだったみたいです。不思議に繋がったご縁でした。ペットちゃん同士が繋ぐご縁、ペットちゃんが大好きな人が繋ぐご縁、様々なご縁に心から感謝いたしたく存じます。

 

ジャズが流れる中、さくらのすけ君のお拭き清めが始まりました。ジャズが大好きだったさくらのすけ君、ご家族様おひとりおひとりの手により拭き清められ、その手肌の温もりとジャズの心地よいリズムにどことなく嬉しそうです。こんなに小さな体で15歳まで本当によく頑張りました。

 

実は、さくらのすけ君はご長女のワンちゃんでした。ある時、羽咋のご実家に一時的に預けられることになりました。その間、ご実家のお母様はさくらのすけ君の可愛さに心を射抜かれてしまったのです。以後、お母様はさくらのすけ君と離れられなくなり、さくらのすけ君は今日までご僧侶ご夫妻のもとで暮らしていたのです。

 

ご火葬はご自宅の駐車場でとり行いました。ご家族様には順々にお越しいただき、スタッフによるご拾骨の様子もご覧になられました。全てが終了し、ご自宅の玄関でご僧侶であるお父様にご挨拶させていただいていると奥から青白いお顔のご長女がお出ましになられ私どもにご挨拶くださいました。居たたまれない程お辛そうなご様子でした。お父様にお聞きすると、お嬢様はお拭き清め後、徐々に具合が悪くなり、何度か吐かれたとのことでした。さくらのすけ君の逝去という現実に向き合いながらも深い悲しみの余りその現実が知らず知らずのうちに大きなストレスとなっていたのでしょう。とても心配です。一刻も早く生気を取り戻してほしいと願うばかりの私たちでした。

 

でも、多分、大丈夫。そしてこの悲しみが続くであろうこれから先も、大丈夫。ご長女には頼りになるお父様やご主人様他、こんなに優しいファミリーが大勢いらしゃるのですから。さくらのすけ君、そうだよね。帰りの車中、私は月夜の空に向かったさくらのすけ君に相槌を求めます。