お仕事日録

チワワのプリンちゃん 心の琴線れたご葬儀

新築住居の居並ぶ住宅街、ご指定いただいた番地のお家はすぐに見つかりました。応対してくださったのは奥様でした。気丈に振るまわれておられてもその沈んだ面持ちが奥様の今の心の状態を物語っております。リビングにはご主人とお婆ちゃま、そして薄いキャラメル色が美しい小柄な12歳の女の子、チワワのプリンちゃんが優しい寝顔で私たちを迎えてくれました。

 

プリンちゃんは心臓に不安を抱えながら毎日を過ごしていたとのことでした。心臓の僧帽弁に異常が見つかって以来、ご家族様もプリンちゃんの心臓に負担をかけないように気を配りながらお世話していたようです。様子がいつもと違うと気づいた時にはすでに生死の境にあったそうです。お聞きするところ、根治が困難なこの病気はいついかなる時も安静を強いられるとのことでした。この日、心臓に負担となる出来事があったのでしょうか、この日のプリンちゃんはいつもと変わらず奥様にも全く心当たりがないようでした。

 

以前、ご家族様はいつかこんな日が来るのでは、とても不安な日々を過ごしていたそうです。それでも日々の経過とともにいつしかプリンと一緒には弾けるように戯れたい気持ちを手放すことが出来たそうです。そして今、遠目で見守りつつ穏やかに過ごさせてやることこそプリンちゃんへの愛おしさであることにようやく慣れてきたとのことでした。深い愛情があればこその接し方。少し切ないけれどもそれ故に心が動かされ私たちも胸が熱くなりました。ご家族様の心の琴線に触れることで私たちも少し成長できた気がいたします。ご家族様にはどうぞお心穏やかにお過ごしください。ご冥福をお祈り申し上げております。

 

お火葬はこの住宅街を抜けた区画整理の始まりつつある開けた場所で執り行います。