お仕事日録

可愛い王子様 黒猫のプリンス君

御歳20才、黒猫のプリンス君がその生涯を閉じました。プリンス君は飼い主様ご夫妻にとっては可愛い王子様、大人しくいつでも気配りのできる末っ子でした。

 

 

「プリンス君が動けなくなって余命が尽きるまでの介護の1週間、心が冷たくなっていました。そして今、とっても寂しくてどうしようもなく泣きたいのに泣けません」とお母様はおっしゃられました。私はそれを聞いて少し不安になりました。大泣きすることがこの哀しい現実に向き合い立ち直るための第一歩となることだってあるのです。お母様のお心はまだそこに至っておらず空虚な状態を脱せずにいるようなのです。この場合、溜まりに溜まった深い悲しみがここぞとばかりに厚みを増して後々襲ってくることも考えられるのです。そうでなければよいのですが。。

 

ご葬儀プランに関しては、ご夫妻はセレモニーの付いたプランをお選びいただきました。清拭の儀の他にお別れ式がとり行われます。まずはご夫妻とお嬢様がお見守りになられるなかお拭き清めをとり行い、その後、ご家族様自らの手で最後のひと拭きをお願いしました。ご葬儀も厳かな中、滞りなく終了しました。お火葬は、別の場所でこの後 とりおこなわれ、再度ご返骨に伺います。

 

ご焼骨の後、プリンス君のお骨をお骨壺に収めてご返骨に伺いました。お母様は、お骨壺を手にして、私どもにお願いして本当に良かったと、また、お骨になったプリンス君を抱きながらようやく温かい気持ちになりましたともおっしゃられました。お母様のお心は少しずつですが 前を向きつつあるようです。可愛い王子様。君がお母様を見守ってくれているのですね。

 

ご家族様へ。ご用命いただき誠に有難うございました。そして 元気な頃のプリンス君のお写真の掲載をお許しいただき感謝申し上げます。

 

最後に、雨の中 ご返骨に伺った際、タオルを用意してお待ちいただいていたお嬢様、本当に有難うございました。こんなに優しいご家族に囲まれていたんだもの、さそや幸せだったんだろうなぁ、プリンス君は。