お仕事日録

トイプードルの百ちゃん、お父さまに抱かれたままに

グレーブラウンの被毛がとても美しいトイプードルの百ちゃんが旅立ちました。あと1ケ月で15歳のお誕生日を迎えるところでした。亡くなる前日には公園のドッグランではとても元気に走り回っていた百ちゃんでしたが。なのに次の日、ご家族様が気にする間もないほどに百ちゃんはみるみるうちに具合を悪くし 生死を彷徨うまでに衰弱していきました。

 

いてもたってもおられないお父さまは百ちゃんを抱き上げます。暫くはお父さまの腕の中、か細く息を繋いでいた百ちゃんでしたが、お父さまの温もりに安心したのか、その後、静かに息を引き取ったのだそうです。慢性の腎不全を患っていたとはいえ あまりに突然のお別れ。。ご家族様のお気持ち、如何ばかりかと胸が詰まる思いです。

 

お火葬は、お母さまがお気持ち的に耐えられそうにないとのことでご自宅の広いスペースで執り行うことはせず、百ちゃんを私どもでお預かりし、別の場所に移動してご焼骨させていただくことになりました。ご自宅前、ご家族様はお棺の中の百ちゃんに綺麗な花々を手向けられます。そして出棺。ご家族様に見守られる中、百ちゃんとご家族様の百ちゃんへの思いを載せたお火葬車はご自宅を出発しました。

 

 

百ちゃんはお父さまに抱っこされたまま亡くなりましたが、その後も暫くはそのまま抱かれていたのでしょう、百ちゃんは抱かれた姿のまま体を硬直させていました。百ちゃんは薄れゆく意識の中でお父さまを肌で感じ その温もりに包まれて旅立ったのです。百ちゃんは決してその温もりを忘れることはありません。今、お火葬車に揺られているこの時も百ちゃんはその温もりを胸にそっと抱いていることでしょう。そしてその温もりはこれからも先もずっと幸せの記憶となって百ちゃんの魂を温め続けるのです。

 

嬉しい宝物を貰ったね、百ちゃん。優しいご家族様に出会えて本当に良かったね。