お仕事日録

三姉妹のお嬢様とミックス猫のミル君、そしてクー君。

茶虎のミックス猫、ミル君が亡くなりました。最後には点滴を受けながら病と闘ったミル君でしたが、年が明けた月の満ちる日、とうとう天へと召されていきました。

 

ご家族様は飼い主様ご夫妻と3姉妹のお嬢様方。ご家族様は私どもがお伺いするまでの2日間、心ゆくまでお別れをなされたようでした。ご家族様自らが設えられた祭壇とご焼香の匂い、皆様でお弔いされた名残りがそのことを物語っています。祭壇の前で花々に囲まれて眠るミル君もまたご家族様のお気持ちを充分に受け取られたのか、とても穏やかな寝顔をのぞかせていました。

 

 

 

平成19年、初夏。ご家族様は新聞に掲載されている1匹の仔猫に目を奪われました。こんな可愛い家族が欲しい、、ご家族様はその仔猫を譲り受けに行かれました。そこにはその猫ちゃんの他に兄弟の猫ちゃんも預けられており、ご家族様は兄弟2匹とも貰い受けることにされたのです。その猫ちゃんが今ここに眠るミル君、そしてその兄弟のクー君です。

 

2匹は優しいご夫妻と素敵なお嬢様たちに囲まれてすくすく大きくなりました。今は大人になられているお嬢様たちですが、ミル君たちと出逢って14年もの間、多感なお年頃の時期にあったお嬢様たちにとってミル君たちは時に勇気をくれるお兄さん、時に甘えてくる弟ちゃんでした。嬉しい時も、悲しい時も常に一緒にいたかけがえのない存在だったのです。そんな存在がある日を限りにぽつりと目の前から消えてしまう、、考えるだけでも、心が抉れるような思いに駆られるのは私ばかりではないはずです。ご家族様におかれてはどんなにお辛いことか -  残されたクー君には、ミル君の分まで、今は寂しいけれども、たったひとりの男の姉弟としてお嬢様たちの頼りになる、そしてお心を癒してさしあげれる存在でいてほしい、、そう願うばかりです。

 

ミル君は自分でドアを開けたりする賢いところがありました。加えて祭壇のお写真の通り 見た目もとってもハンサムでした。かと思うと、お嬢様たちの、大好きな食パンを狙ったり、障子を駆け上がってお父さまをへこませたり、お母さまの目を盗んで米櫃の生米を食べたりと腕白な一面もありました。悲しいけれどもご家族様はミル君のそんな姿をこれから先、見る事は出来ないのです。

 

それでも、嬉しいことに想い出というものは心がある限り いつでも手繰り戻せることが出来るのです。手を焼かせたあの時この時、ミル君とのありとあらゆる記憶の全てをご家族様の間で、寂しい思い出としてではなくクスッて笑みがこぼれるくらいに良い思い出としていつまでも語り続けられますようにと、私は願います。今すぐは無理かもしれません。でもご縁をいただいた者として私はそう祈りたいのです。

 

 

ミル君。どうぞ安らかに。ご家族様には、ご用命いただき有難うございました。