お仕事日録

ボーダーコリーのレックス君 クロちゃんの元に

 

穏やかな春の日、11歳のボーダーコリー、レックス君が天国へと召されていきました。癌の除去手術をして10日目でした。お腹を開けたときにはすでに他にも転移しており、全てを取り除くことが出来ませんでした。

 

レックス君は4年前の夏にご葬送させていただいたミニチュアダックスフント、クロちゃんの家族です。この度 ご依頼いただいた際にお電話口で頂戴した飼い主様のお名前とご住所で、ご依頼者様が以前お見送りさせていただいたクロちゃんのお父様であると確信しました。しかしながら あの時に大きなワンちゃんがお家にいることに全く気づかなかったこともあり、お伺いするまではこちらの勘違いかもしれないと考えていたのです。あの時 レックス君はいったいどこにいたのでしょうか、お二階でお昼寝でもしていたのでしょうか。。それが今日、レックス君はこの1階のリビングで15キロもの大きな体を横たえ静かに眠りに着いているのです。そして 弊社スタッフの拭き清めにもどこか自ら進んで身を任せているようにも見えるのでした。

 

あれからしばらくして、クロちゃんと同じミニチュアダックススフントのポコちゃんがご家族の一員として迎えられました。そのポコちゃんは今、お嬢様の膝の上でレックス君のお拭き清めを静かに見守ってくれています。レックス君は、後にやってきたポコちゃんを年の離れた妹のように可愛がっていました。ポコちゃんもまたレックス君が大好きだったようです。

 

ご家族様が仰るには、レックス君が天へと召されていった時 ポコちゃんは、レックス君がすでに亡くなっているとも気づかずにレックス君を起こそうと何度も何度も小突いていたとのこと。もしかしたらポコちゃんは今この時も「起きてよ、レックス。いつまで眠っているの?」と不思議がっていたのかもしれません。

 

レックス君。生前のあなたにはお目にかかったことはないけれども いつも相手の事を考え先回りして行動する とても賢い子だとお聞きしました。あの日 私たちを驚かせちゃだめだと思ってお二階に潜んでいたの?それとも相棒が亡くなってひとり悲しんでいたのかな。そして、晩年は、家族の皆を悲しませたくなくて最後まで我慢していたのかい。辛かったね、痛かったね。でも もう我慢はいらない。よく頑張ったね。今はクロちゃんのお隣でゆっくりと休んでください。ほんとうにお疲れさまでした。