お仕事日録

迷い猫だった白猫 お寺の白ちゃんが架けた虹の橋

白ちゃんは怪我をしてお寺の奥様に助けを求めてやってきた迷い猫でした。棲み処を探しあぐねているのか白ちゃんは数年前からお寺の周りをうろつくようになりました。そんな不憫な白ちゃんを奥様はいつも気にかけ可愛がっておられました。

 

最初はお家に入るのを遠慮していた白ちゃんでしたが、奥様に招かれ お家猫になってからは、お寺のお堂の一角で行われている習字教室の生徒さんたちにも懐いて皆に大変可愛がられるようになりました。

 

私自身も今日が白ちゃんとの初対面の日ではありません。4,5年前、何度かお寺にお邪魔する機会がございました。お寺を訪ねるときまって境内をうろつく白ちゃんに出会いました。その後の白ちゃんについては奥様の元で幸せに過ごしていることは奥様のフェイスブック等で存じてはおりました。また当時から白ちゃんが迷い猫だったことも奥様からお聞きしてはいたのです。

 

そんな中でのこの度のご訃報でした。最初は驚きとともにとても残念な気持ちになりました。しかしながら少し時を置いて白ちゃんの思いに心馳せみると、悲しい気持ちも一方にはございますが、御仏のお導きによりお寺に引き取られ こうしてお弔いされることとなったことを思えば、もしかすると白ちゃんほどに幸せな猫ちゃんはそういないのかもしれない、と、先ほどまでの心の在りようが私の中でどこか温かくて安らいだ気持ちへと変わってゆくのでありました。

 

私どもがお伺いした時には、奥様と白ちゃんを可愛がってくれていたご近所のお友達がお堂でお待ちで、すでにご葬儀はとり行われお火葬を待つばかりでした。お二人には、スタッフが枕元にお飾りするお花の準備をさせていただく中、白ちゃんの思い出話等々をお聞かせいただきました。白ちゃんは人を威嚇するようなこともなくとても穏やかな性格だったみたいです。

 

お火葬は駐車場のスペースをお借りしました。お空に行く白ちゃんを見守っていただくため、お二人も屋外へとお出ましいただきました。「お天気になって安心ですね」 奥様にお話しさせていただいたスタッフでしたが、白ちゃんがお空に上がられて直ぐにお天気雨が降り出しました。辺りは日差しでそれなりに明るいのに雨が私の背中を濡らしています。

 

「白ちゃんが泣いているのかな」

 

 

立ち昇る煙りの行く手を追いかける私の目に映ったのは、なんと とても大きく鮮やかな虹。まさに虹の架け橋でした。奥様とお友達にもお知らせし その虹をご覧いただきました。思わずスタッフは感激して白ちゃんが感謝の気持ちを表しているのですね」と奥様に伝えます。

 

「そうなら嬉しいのだけど。。」奥様はお気持ちを抑えるようにそう仰られると空を見上げられ 何かを感じておられるようです。どうやら奥様の目にはお名残惜しそうにこちらを振り返り虹を渡る白ちゃんが映っているのかもしれません。

 

白ちゃん!私には分かるよ。君はどうしても奥様に伝えたいんだね ー とっても しあわせでした。ほんとうにありがとう、と。