お仕事日録

ジェントルジャイアントな猫 メインクーンのクーン君の旅立ち

寒波の到来前の烈風吹きすさぶ日、メインクーンのクーン君が亡くなりました。

 

飼い主様にご葬送のご依頼を賜わり、3日後、ご自宅に伺うことになりました。ご依頼を承ったその翌日は大雪でしたが、ご訪問当日は、雨が時折ぱらつくものの寒さもかなり和らいでいました。

 

ご自宅でのお火葬が飼い主様のご要望でしたが、ご自宅にはお火葬のスペースは充分あるものの昨日から大雪です。かなりの積雪量が想像されます。そんな中、飼い主様からお電話をいただいて、急遽、飼い主様の経営する会社でお会いし お火葬も会社の敷地でとり行うことに変更となりました。会社のご住所をお聞きすると市は跨ぐものの会社はご自宅にそれほど遠くないところのようでした。

 

お約束のお時間に会社を訪ねるとご夫妻がお待ちいただいておりました。大きな敷地に工場、社屋が併設されています。年配の社長様を想像しておりましたので、お迎えいただいたご主人が大変お若いことに正直、驚きました。

 

ご主人にお通しされた事務所の一室で、メインクーンのクーン君とお初に対面させていただきました。クーン君はグレーの長い被毛がとても美しい大柄な猫ちゃんでした。

 

メインクーンという種は「世界一、しっぽが長い猫」「世界一、ひげの長い猫」としてギネスブックに登録されたこともある珍しい種で、その外見から「ジェントルジャイアント」いう愛称で呼ばれることもあります。ジェントルと形容されるのは、番犬のように強くどっしりした印象の外見に反してとても優しい性格だからだそうです。

 

クーン君の亡くなった理由は、正直、誰にもわかりません。原因が不明なのです。奥様がお家に戻られるとクーン君は静かにひとり佇んでいました。いつもと変わらぬ光景です。しかし 奥様にはどこか少し違って見えました。様子がおかしいなぁ。眠っているのかな??不審に感じた奥様はクーン君に近づいて確かめます。すると、なんということでしょうか。クーン君はすでに息を引き取っていたのです。確かなことは言えませんが、何かの原因で心臓が急に止まってしまったとしか考えられないのです。

 

いずれにしてもご夫妻、ご家族様には青天の霹靂でした。クーン君はまだ4歳という若さ。ご家族様にあられては、そのお悲しみ如何ばかりかと只々お察し申し上げます。

 

4年前にご夫妻の一目ぼれでやってきたクーン君、優しくて 人懐っこくて 温和。誰からも好かれる性格でした。先住犬にもやきもちを焼かれるほどご家族様にもべったりだったのです。

 

 

事務所の一室でご夫妻様にはクーン君のお拭き清めをお手伝いいただきました。その後、トラックが何台も停められる大きな駐車場からクーン君はご夫妻様に見守られる中、旅立ちました。

 

今日はお休みなのでご夫妻以外は誰もいません。クーン君。今日、初めて会社に入ったのかな。ここがあなたのご主人が営む会社です。立派な構えに驚いていますか?最後に見学ができましたね。君にとっては慣れ親しんだご自宅は忘れられない場所だけど、こちらもきっと忘れられない場所になりそうですね。あなたの大好きな人が頑張っている場所だもの。

 

クーン君のご冥福、心よりお祈り申し上げます。