マルチーズとシーズーのミックス犬、ベル君。16歳と半年、今ここに旅立ちました。
長い歳月をご家族と共に歩み たくさんの愛を残してくれたベル君。ご家族様には心より哀悼の意を表します。どんな時もご家族の心に寄り添い、皆を優しい気持ちにしてくれました。ほんとうにお疲れさま。そして心からありがとう。

17年前、ベル君はお母様のお友達のもとで生まれました。まだ小さなpuppyだったベル君に会いに行かれたお母様、出逢った瞬間に心を奪われてしまいます。その一目惚れからベル君とご家族との愛の物語が始まりました。
最初、お嬢様はワンちゃんが少し苦手でした。”かわいい”よりも”ちょっと怖い” が先にきてしまう。けれどもベル君のまっすぐな瞳と愛らしさはお嬢様の僅かながらの恐怖心を優しく溶かしていきました。そしていつの間にか 怖さよりも可愛さが勝っていたのです。ご家族がお仕事へ出かけるとベル君はお家を守る大切な存在でした。年齢を重ねるにつれて静かな時間が少しずつ寂しく感じられるようになりました。「そろそろ帰ってこないかなぁ」そんな想いで玄関に座るとご家族皆の帰りを待つようになりました。「人懐っこくフレンドリーな性格。家族が大好き。でもちょっぴりお留守番が苦手」マルシーズーの性格をググってみましたが、そのように記載されていました。まさにベル君に当てはまっているようです。
ご近所には人間のお友達もいました。その方とはまるで本当に会話をしているかのように語り合い、時には寂しさを打ち明けるように聞こえることもあったとか。ベル君は言葉を超えて心を通わせることのできる子だったみたいです。旅立ちの少し前のこと。そのお友達がベル君のお見舞いに来てくださいました。それがたまらなく嬉しかったのでしょう、お友達がお帰りになられる段になるとそれを察したベル君はその方の袖をぎゅっと引っ張って全力で引き留めようとしたのです。「まだ帰らないで」とベル君はその小さく老いた体でその方への愛しい気持ちを無邪気に素直にといったベル君らしいやり方で可愛らしく伝えていたのですね。
ご家族の皆を愛し 皆に愛されていたベル君ですが、お嬢様はベル君にとってとりわけ特別な存在でした。ベル君は体調を崩してからは毎日お薬を飲んでいました。それが 不思議なことに 朝のお薬はお嬢様からしか飲まなかったそうです。薬のお時間になると、2階にいらっしゃるお嬢様へ向かって「時間でーす!お薬くださーい」と階段の下からお嬢様を呼ぶのがベル君の日課でもありました。お母様曰く、お薬のお手伝いだけはお母様でも駄目だったとのこと。お母様は、甲斐甲斐しくベル君のお世話をされるお嬢様を『婦長さん』と愛情を込めて呼んでおられました。
お旅立ちはお嬢様がお休みの日でした。婦長さんならぬ大好きなお嬢様がずっと側にいられる日をベル君自らが選んで旅立っていったのです。お見送りはその3日後。ご家族様におかれては、お旅立ちからお見送りまでのこの3日間、ベル君との楽しかった思い出を振り返りながらベル君との最後のひとときを心ゆくまで過ごされたことと存じます。
そして今日のお見送り。ここに お母様とお嬢様、そして大切なお友達に見守られながらベル君は天国へと向かうためご自宅を後にします。お火葬車はベル君とともにご自宅を静かに離れます。しかしながら私どもはバックミラーを覗くことはできません。何故ならそこには悲嘆にくれるお母様とお嬢様、お友達のお姿がお映りになられておられるのです。お別れに何度も立ち合ってきた私どもですが、未だに慣れずご家族様の悲しみに引きずられて辛くなることもあります。だから私どもは敢えてミラーを覗くことはしないようにしているのです。
でもね。ベル君。君には別れゆくご家族様のお姿を今 しっかりと心の目に刻んでほしいです。愛する人たちのあなたへの思いがこのほんの一瞬にさえも 溢れんばかりに詰まっているのだから。
ほんとうに幸せでしたね、ベル君。心よりご冥福をお祈りいたします。






