お仕事日録

ミックス猫のチョコちゃんが亡くなりました。

キジトラの模様が美しい大柄なミックス猫 チョコちゃんが亡くなりました。御年5歳 、女の子です。

 

 

それはあまりに早く、あまりに突然のお別れでした。飼い主様ご家族は最近お引越しをされてママさんは息子さんとチョコちゃんと一緒に新生活をスタートをさせたばかりでした。

 

そんなご家族に何の前触れもなく突如として途轍もない大きな悲しみが襲ってまいります。ママさんは、朝、いつもと変わらず目覚めました。その時、何か違和感を感ずるものがあったのです。足元にいるはずのチョコちゃんからいつもの温もりが感じられないのです。ママさんはすぐさま起き上がりチョコちゃんの所在を確かめました。チョコちゃんはまだ眠っているのかしら、と今一度、チョコちゃんの様子を確認されました。すると、どうでしょう、一緒に眠っていたチョコちゃんが冷たくなっていたのです。

 

そんなことってあるのでしょうか。ママさんの驚きと落胆は筆舌に尽くしがたいものがあります。私どもも我が子同然に愛していたペットちゃんを突然亡くし哀しみのどん底に打ちひしがられる飼い主様を多く見てまいりました。しかしチョコちゃんのようなケースは初めてであり、お慰みの言葉すらみつかりません。唯々飼い主様のお気持ちに何も語らず寄り添うしか術がないのです。

 

ご連絡をいただいた時もママさんは現実を受け止められず、何ひとつ考えられないようなご様子でした。しかしながらお仕事を進めるうえでご要望をお聞きしたり等々お尋ねしなければならないことも多く、お心の傷に無理のないよう努めながらもお話しさせていただきました。お言葉の少ない中にも望まれていることが何かを突き止め、それに対して出来うる限りのご提案をさせていただいたのです。

 

ご葬送はお住まい近くの広い公園でとり行うことになり、私どもが飼い主様のお車を先導するかたちでチョコちゃんを乗せた火葬車でその公園に向かいました。ご葬送にはママさんと息子さんのほかにもママさんのお母様もお立会いいただきました。お母様は私どもがご自宅に伺うより先にお嬢様の新居にご実家からお越しいただいておられたのです。

 

お火葬を始める頃には公園内は夜の闇に包まれていました。空を見上げるといくつもの星が瞬いています。遠くに車が数台駐車されていますが、大きな公園なのでがらんとした感じでありました。その一角にお火葬車を停車、照明で炉前を明るく照らしお火葬をとり行うのです。ママさんたちもお車からお出になられお見送りが始まりました。炉内に火が入るとパッと炎が立ちのぼり、チョコちゃんは煙となって旅立っていきました。その行く手には綺麗な星空が広がっています。

 

ご家族様はどんな思いでこの旅立ちを見つめられていたのでしょうか。ご家族様にはチョコちゃんの亡くなった理由は今尚、分かりません。猫ちゃんに多いと言われる腎臓病を患っていたのでしょうか、あるいは猫特有のウイルスによるものなのでしょうか、はたまた何か大きなストレスに見舞われて心臓に負担がかかったのでしょうか。今まで若くして急に亡くなる猫ちゃんにはそのようなことが原因だったように私は記憶しているのです。

 

ただひとつ言えるのは、ペットちゃんの中にはとても我慢強くて痛みや辛さを隠すような性格の子がいるとも聞いたことがあります。もしかするとチョコちゃんもまたそんな性格だったのかもしれません。「ママさんやお母様に心配を掛けたくない。辛そうにしているとママさんに心配ばかりかいらぬ手を掛けさせてしまう、だから、そうならないようにずっと黙っていよう」 ご家族への優しい気持ちがチョコちゃんをして決して辛いそぶりは見せまいとの思いに至らしめたのではないのかと ー 私にはそのように思えて仕方ないのです。

 

どうかチョコちゃん、今は只々安らかにお眠りください。 心からご冥福をお祈りいたします。