ヨークシャーテリアのヤスくんが亡くなりました。ご冥福をお祈りいたします。
ヤスくんは17年前、こちらのご主人のお母さまが迎えられたワンちゃんでした。当時はご主人とお母さまは同居されてはなかったのですが、ご夫妻にご長男が誕生し、その後にご夫妻とお母さまはご一緒に住まわれるようになりました。以後 ヤスくんはご夫妻の庇護の下 ご長男さまとはまるで双子の兄弟のように育てられました。後にお生まれになったご次男、長女さまも含め、仲良しの姉弟としてその輪の中 ヤスくんはもしかした自分がワンちゃんだとも気付かず過ごしてきたのかもしれません。
今、そのおばあちゃまも数年前に亡くなり、ヤスくんは姉弟の中 ひとりどんどん老いてゆきます。ご成長著しい姉弟とは違う一抹の寂しさ、儘ならなくなってゆく不自由な体、そんな老いの苦しみの中、ヤスくんはかつて可愛がってくれたおばあちゃまに会いたいという思いを少しずつ募らせていたようにも思います。
ヤスくんのお家の中での定位置はご仏壇の前でした。ヤスくんにとっておばあちゃまの温もりを今も感じられる唯一の場所だったのでしょう。晩年は食も細り、脚も弱くなってやっと歩いていたヤスくん、最近は仏壇前の定位置にも行かなくなっていました。それがある日、今思えば亡くなる前日でした。ヤスくんはご仏壇の前で正面を向いてすくっと立ってじっと何かを見つめていたのです。その後ヤスくんは安らかに息を引き取ったのだそう。もしかすると彼の目にはにっこり微笑むおばあちゃまが映っていたのかもしれません。僕をお迎えに来てくれたの?おばあちゃま、というように。
ご主人は私どもにご連絡された後、ヤスくんをお風呂に入れて、トリミングもされたようで、シルバーベージュの美しい毛並みがキラキラと輝いています。終末期にはオムツの生活を余儀なくされたヤスくん、どんなに気持ち良かったことでしょう。そして今、ご家族さまに精油でさらに清められました。
お火葬はご自宅前の駐車場でとり行いました。お子さま方も天高く旅立つヤスくんをお見守りくださいました。
おばあちゃまに見初められ、優しいご夫妻と出会い、仲良し姉弟に恵まれたヤスくん、愛に満ちた生涯でありました。どうかこれからは大好きなおばあちゃまの膝の上からご家族みんなを見守っていてほしいと思います。