ロシアンブルーのちゅら君、12歳が旅立ちました。
亡くなられた原因となった病気は悪性リンパ腫でした。リンパ腫は猫に最もよくみられる腫瘍のひとつで食欲不振、嘔吐や下痢など様々な症状が現れます。そんな厳しい病気と闘い 辛い治療にも耐えて頑張ったちゅら君でした。
12年前、ママ様のお友達のお家で4匹の仔猫が生まれます。仔猫たちに会いに来られたママ様はそのうちの1匹の、優しく穏やかな感じの仔猫に惹きつけられ その子をお家に連れて帰られたのです。その仔猫がちゅら君です。「ちゅら」とは沖縄の方言で「美しい」を意味しますが、その名の通りちゅら君はハンサムな雄の猫へと成長していきました。
ちゅら君は貰われてから亡くなるこの日まですっとママ様とふたりきりでした。ママ様がお仕事へ行っている時はずっとお留守番です。 ー「まま。いってらっしゃい。今日も頑張ってね!」と送り出し「お帰りなさい、まま。今日もお疲れさま!」と帰りを待ち、ママ様がお休みの時には「まま、抱っこして!」と甘えた時を過ごす ー そんなちゅら君が手の届かない遠い場所へと行ってしまったのです。自分がママ様だったら果たして耐えられるだろうか。もしかしたら何も手が付かなくなってしまうかもしれません。ママ様のご心中、如何ばかりかと胸が締め付けられる思いです。傍で慰めてくれる家族も今ここにはいないのですから。ママ様はきっとこの時も耐えがたいお心を隠し ちゅら君のためにだけ私どもにも気丈に見せておられるのです。
お火葬はママ様のお住まいからもほど近い大きな公園でとり行いました。ママ様とはこの公園で待ち合わせ、夕闇が迫りつつある中 お拭き清めをさせていただきました。炉前でのお別れにはママ様がご持参された色とりどりのお花がちゅら君の枕元に飾られました。お名残り惜しそうなママ様でしたが、最後は意を決し私どもを促すと最後のお別れに臨まれたのでした。 ママ様はお火葬の間もずっとお火葬車の側でお立ちになったままちゅら君をお見送りされました。その後のお骨上げもまた炉前にてとり行いました。夜の公園、お火葬車だけが闇にぽつりと照らし出されています。ママ様はお骨の部位を確かめながら小さな手指のお骨のひとつひとつに至るまで全てのお骨をお骨壺へと収められました。
ママ様のお仕事がお休みの日を選んで旅立っていったちゅら君。ママ様はその意を汲むようにここにしっかりとお弔いをされたのです。きっとちゅら君は心から喜んでくれていることと思います。 ちゅら君は明日からまたママ様をお仕事に送り出し お仕事からの帰りを待つ日々を送ります。お骨になってもそれは変わることはありません。だから、ちゅら君。ママがあなたを思い悲しんでもお部屋でひとり寂しそうに佇んでいたとしてもママにはいつもこう伝えてあげてほしいのです。「僕はこれまでと変わらずいつでもここにいるよ」と。
ちゅら君。どうか安らかにお眠りください。