お仕事日録

イタリアングレーハウンドのピート君、17歳が旅立ちました。

イタリアングレーハウンドのピート君、17歳が旅立ちました。

 

 

ピート君は5歳でこちらのお宅に迎えられた保護犬です。ピートというお名前はママ様がピート君と初めて対面された時に今にもピーッと走り出しそうな彼にインスピレーションを受けて名付けられた、ママ様のイタリアの親しいご友人にも因んだお名前なのだそうです。

 

5歳までのピート君の身にどんなことがあったかは分かりません。しかしこちらでの12年間はそれはそれは大事にされ 本当に幸せな犬生でした。

 

食べることが大好きだったピート君、遊ぶことも走ることも全力で生き抜いてきました。そんなピート君でしたが、昨年の7月に心臓弁膜症との診断を受けます。心臓弁膜症とは、正式には「僧帽弁閉鎖不全症」と呼ばれる疾病で左心房から左心室に血液が流れる時に通過する弁に異常の起こる病気です。私どももこの病気で亡くなったワンちゃんを多く見送ってまいりました。私どもは専門家ではないので確かなことは分かりませんが、活発なワンちゃんほどこの病気にかかりやすいようです。

 

病気が見つかって以降、ピート君、食欲のほうも少しずつ落ちてはいました。それでもママ様の献身的な看護、介護に加えてピート君自らの生命力でここまで命を繋いできたのです。本当によく頑張りました。

 

お火葬はピート君がママと過ごしたご自宅の駐車場でとり行いました。ママ様はピート君に最期は食べたくても食べたれなくなっていたピート君に生前大好きだったたくさんの食べ物を枕元に供えられました。色とりどりのお弁当を携えたピート君、これで天国までの道中、お腹を空かせることもないでしょう。

 

炉前での最後のお別れです。ママ様はピート君のお顔に頬を寄せられ覆いかぶさるように抱きしめられ、「すぐに戻っておいで!」と声にならない声でお気持ちをピート君に伝えられました。ママ様は私どもにはそう多くは語られませんが、ママ様に出逢うまでのピート君がどうであったのか、ママ様はどこか承知しているところがあるようにも思えるのです。もしかするとそのことを知っておられるが故にママ様にはピート君をこれほどまでに深く思い入れされておられるのではないかと思うのです。ママ様はピート君の、ママ様と出逢うまでのおそらく暗黒の5年間を取り返そうされていたようです。邪推かもしれません。しかしそう思わせるほどママ様とピート君は深いところで繋がっているのでした。

 

ピート君のご冥福をお祈り申し上げます。ママ様にはご用命いただき有難うございました。またテク君のご家族様にはご紹介をいただき心より御礼申し上げます。