お仕事日録

光りを失ったチョコちゃん

チャコールグレーのミニチュアシュナウザー、チョコちゃんのご葬儀が始まりました。仏間の中央にはチョコちゃん、チョコちゃんを取り囲むようにご主人、奥様、お嬢様がお座りになられました。仏壇の傍らには年配男性のお写真が飾られています。お聞きするにそのお写真は数年前お亡くなりになったご主人のお父様とのことでした。ご遺影を前にお別れ式の準備をしてしていると、不思議なことに私にはお父様もこの場におられるような気がしてまいりました。もしかして、チョコちゃんのお迎えに来られたのですか ―

 

ご主人のお話では、チョコちゃんは数年前から目が見えなくなっていたそうです。老犬には珍しいことではありませんが、ストレスが原因で白内障を誘発することもあるとも聞きます。チョコちゃんの目の悪しき兆候はそれまでも散見されていたようですが、全く見えなくなってしまったのはお父様が亡くなったまさにその日だったとのことでした。お父様の旅立ちが近づいていることを動物的な嗅覚で察知し、そのストレスが原因で光りを失うことになっしまったのでしょうか。私には、 チョコちゃんはご家族様の辛い時も楽しい時も常に寄り添い、時を過ごしていたからではないかと思えるのです。

 

お父様。チョコちゃんの事、どうぞよろしくお願い致します。