お仕事日録

アル君、頼んだよ。

奥様からお火葬のご依頼があったのはその日の早朝、出来れば8時20分までに来てほしいとのことでした。ご自宅は金沢の北東部にあり ご自宅までの距離を考えるとなんとか間に合います。早速、急いで準備し全ての支度を終えてご自宅に向かいましたが、卯辰トンネル、御所トンネルは渋滞 ー これはどうにも間に合いません。電話で少し遅れると奥様にお伝えすると お気を付けてとの優しいお言葉が。。このトンネル、出勤時間帯には必ず自然渋滞すると聞いていたのですが、うっかりしておりました (-_-;)

 

ご自宅には10分弱遅れて到着。奥様はすでにお仕事に向かわれご不在でしたが、高校生のお嬢ちゃんがひとりでお待ちいただいておりました。奥様はお嬢ちゃんに託して出勤されたのです。最後のお別れに臨みたかったであろう奥様には大変申し訳なく存じます。

 

旅立ったのはミックス犬のアル君、15歳。ピンと張った耳などそのお顔や毛色から多分コーギーのミックスだと存じます。涙を溜めてすすり泣いておられるお嬢ちゃんにはあれこれお聞きするには忍びなく私どもにはお嬢ちゃんのお心にそっと寄り添うしかありません。15歳は人間で言うなら高校1年生? ということは、もしかするとこのお嬢ちゃんが生まれて間もない頃にアル君はこのお家にやってきたのでしょう。そんなお嬢ちゃんの心中 いかばかりかと本当にやりきれない気持ちです。矢継ぎ早やに愛するペットを亡くした経験がある私たちには彼女の今がよく分かるのでした。手伝いに来ていた家内はたまらず彼女を抱きしめていました。でも、私たちは信じています。アル君と共に過ごした楽しい日々が彼女の口から懐かしく語られる日が必ずややってくると ー 私たちがそうであったように彼女にもそうであってほしいと願います。

 

アル君のお骨をお届けする定刻には奥様はご自宅にお戻りでした。お嬢様のご様子は伺いしれませんでしたが、ご家族様はもとより、アル君が空からきっと彼女を見守り続けてくれることでしょう。

 

アル君、頼んだよ。

 

 

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