ご自宅に伺うとご主人、奥様、高校生のお嬢ちゃんがお待ちでした。8年間、可愛がっていたウサギ、茶太郎君はすでに冷たくなっています。お父様とお母様の後ろで高校生のお嬢ちゃんは号泣。ご両親はお嬢ちゃんのお心を気にしながらも私どもの説明をお聞きくださいました。
出棺の時。ご遺体を炉に納める時もお嬢ちゃんは玄関先から離れずにおられ、お別れの刻に立ち合える勇気を持てないといったご様子です。多感なお年頃であるがゆえ致し方のないことだと思います。実は、こちらのお嬢さんには妹さんがおられ、その妹さんは只今修学旅行中とのこと。茶太郎君が亡くなったことをまだ知らせずにいるとのお母様のお話でした。楽しい修学旅行が悲しいものになっては可愛そうだとのご両親の思いがおありなのです。
茶太郎君にはEZの疑いがあったようです。この病気、エンセファリトゾーン症はエンセファリトゾーン・カニキュリという原虫が寄生することによって起こります。脳障害を起こすことから、家兎脳灰白炎(かとのうはいはくえん)とも呼ばれることもあり、ウサギちゃん以外にもマウス、モルモット、ヒトなど多くの哺乳類に寄生しますが、ウサギちゃんへの寄生が最も多いようです。症状が発現する場合には、斜頚、旋回、痙攣、部分的な麻痺、眼振などの中枢神経障害を示す症状があらわれます。その他にも白内障、沈うつ、食欲不振、成長不良などの様々な症状を示すことが知られています。ウサギちゃんを飼われておられる方には、この病気、血液検査で判別できますので症状が見受けられる場合はしっかりと検査をしてくれる病院で早期に診てもらうことをお勧めします。
茶太郎君のご冥福をお祈りしております。