お仕事日録

さくらねこのアッキー君

保護猫のアッキー君がその生涯を閉じました。ご自宅に伺うと奥様がひとりお待ちいただいておりました。傍らにはアッキー君が小箱の中で横たわっております。ご依頼いただいたご主人は出張中でした。この度のご依頼もおそらく出先のご主人がネットで弊社を見つけご用命いただいたようです。

 

ご夫妻は猫ちゃんが大好きで、以前より保護猫を引き取り、飼い育て、そして幾度々と天国へ見送ってこられたとのこと。大阪から金沢に越してこられたことをきっかけにご夫妻は今までの猫ちゃんと異なりお家の中でアッキー君を飼うようになりました。そのこともあって、奥様のアッキー君への思いもひとしお強いものがあるようでした。

 

アッキー君の片耳は桜の花びらの形にカットされています。耳のカットは不妊手術をしたことを示す印のようなもので、こういう猫ちゃんは「さくらねこ」と呼ばれています。Trap(捕まえる)、Neuter(不妊手術を施す)、Return(元の場所に戻す)の頭文字からその取組みは「NTR」と呼ばれ、増え続ける野良猫の殺処分を減らしてゆこうとするという活動の一環です。日本では年間13万匹以上の猫が殺処分されています。メス猫は年に3回出産し、1回に5匹の子供を産みます。行政に引き取られる飼い主不明の猫の8割が産まれてまもない仔猫であることもこのデータを実証するものと言えます。不妊手術をするのはそんな不幸な野良ちゃんがこれ以上増えないようにするためなのです。

 

もし、道端で耳先をカットされた猫を見かけたなら、この猫ちゃんの後ろには猫のお世話をする優しい人がいると思ってください。是非、優しく見守ってあげてほしいと思います。さくらねこのなかにはアッキー君のように里親に引き取られてゆく猫ちゃんもいれば、お外で逞しく生きてゆく猫ちゃんもいるのです。

 

アッキー君は幸運でした。優しい人に出会い、家族の一員として迎えられたのです。 本当に幸せでした。- だから、ママ、そんなに悲しまないで ー 私の胸に浮んだこの思いは間違いなくアッキー君から発せられたもののように思えます。人間の身勝手で不幸を強いられる猫ちゃんがまだまだいるなかアッキー君のような幸せを掴む猫ちゃんが少しでも増えることを祈るばかりです。

 

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