鮮やかなブルーの羽が美しいセキセイインコのしずちゃんが天国へと羽ばたいていきました。御年10歳。インコ年齢では最年長の部類に入ります。病名は痛風でした。
痛風は尿酸が蓄積して起こる代謝疾患で、飼い鳥のなかではセキセイインコにおおくみられます。内臓痛風と関節痛風に分類されますが、内臓痛風では臓器に尿酸の結晶が付着し、食用減退、元気がなくなるなどの症状があらわれます。関節痛風では足の関節に尿酸が溜まり、「足を上げる」「木に止まる」などの動作ができなくなるといった症状が出てきます。主な原因としては、「腎臓の排泄機能の低下」「タンパク質の過剰摂取」「ビタミン・ミネラルの過剰摂取や摂取不足」「水分不足」「老齢」「感染症」などがあげられます。いずれにしても治療がかなり困難な病気のようです。
しずちゃんは歳が歳ですから加齢によるものだと考えられます。人も動物も年を取るとそこかしこに不具合が生じてしまうもの。可哀そうだけど致しかたないのかもしれません。とはいえ 私自身も通風を経験したことがありますが、足の指先が痛くて歩行も儘ならなかった記憶がございます。しずちゃんもこの小さな体であの痛みに耐えていたのだと思うとさすがに辛いものがあります。
ご家族様にはお拭き清めをお手伝いいただきました。この拭き清めは体を拭くという行為の意味のみならず、清めることで痛みや穢れを天国にまで持っていかないようにとの願いを込めた亡きペットちゃんに対する儀礼、儀式でもあるのです。ご家族様に優しく拭き清められ、しずちゃんもさぞや喜んでくれているのではないでしょうか。
ご火葬の時が来ました。ご家族様からはしずちゃんへのお手紙と絹のハンカチーフをお預かりしております。しずちゃんは愛する人の微かな匂いを含んだチーフに身を包み愛しい人の愛の言葉を胸に抱いて旅立つのです。ご家族様の思いがしずちゃんに届きますように - 私はそっと炉に火を入れました。