柴犬のももちゃんが旅立ちました。享年16歳、老衰でした。
ももちゃんは80代のママ様と暮らしていました。近くにはお嬢様も住まわれてのようですが、いつもママ様と一緒に過ごしていました。ももちゃんはゴールデンウィークの頃から体調を崩すと、寄る年波には逆らえなかったのか、みるみる細っていき、お盆の頃にはついに寝たきりになってしまいます。そして10月が終わろうかという某日、ついにその生涯を閉じました。
私どもがご自宅に伺うと、細った後ろ脚が床ずれにより所々 赤くなっている痛々しい姿のももちゃんが眠っていました。3ケ月にも及ぶ寝たきりの生活がどれほど辛かったのか、ももちゃンの思いと哀しいお姿に私どもも涙が溢れそうになりました。体の自由がきかなくなったももちゃんはおそらくママを残して逝けないと懸命に頑張っていたのでしょう。その強い思いは、ある時を境に変わったのではないかと、いっこうに回復の兆しを見せない自らの限界を悟り 自分に残されているのはもうママ様を労わる事しか出来ないと自覚した結果、別の思い、もうこれ以上 ママ様にご迷惑をおかけしてはいけないという これもまた愛するが故の思いへと変わっていったのではないかと、思うのです。
お拭き清めは玄関先でとり行われました。ももちゃん、多くの人に愛されていたのでしょう、お拭き清めが終わる頃にはご近所の方もももちゃんとのお別れに手を合わせにお越しいただきました。
お火葬は玄関前の広い駐車スペースをお借りしました。最後のお別れの時、ママ様が「とうとうひとりになってしまいました」と寂しそうにポツリ仰いました。
炉に火が放たれ、ももちゃんが静かに上がっていきます。ももちゃん。ママ様を見守っていてね、なんて言わないよ。あなただったら空の向こうからでも そのまた向こうからでもきっと全力でそうするだろうからね。
ももちゃんのご冥福をお祈りいたします。