20余年前、こちらのお宅では一匹のオス猫を飼っておられたそうです。ある日、そのオス猫が一匹のメスの子猫を連れてきました。その後、子猫はオス猫とともに飼われるようになりました。しばらくして老齢だったオス猫が亡くなり、子猫は亡くなったおじちゃん猫の分まで可愛がられるようになりました。同じ頃、ご主人と奥様に女の子が授かりました。その時の赤ちゃんがこちらのご長女で、この度のご依頼主です。そして、その子猫ちゃんが今回、ご葬送させていただくチーコさんなのでした。
チーコちゃんがこのお家に入った頃、ご長女の他にさらにもうひとり家族の一員が増えました。仔犬がやってきたのです。チーコはその仔犬をまるで我が子のように可愛がり育てました。時は流れて、ちょうど一年前の今頃、そのワンちゃんは天寿を全うしこの世を去りました。そして 今日、チーコ婆ちゃんは我が子の後を追うように旅立ったのです。
ご依頼主様には妹様がおられますが、お二人がお産まれになった時から側らには常にチーコちゃん、ワンちゃんがいたのです。それは姉兄妹に等しい関係と言えなくもありません。そんなかけがえのない存在を短い間に次々に失ってしまうなんて若いお二人にはどんなにかお辛かったことでしょう。
お火葬は近くの公園で行いました。コートの必要なくらい風の冷たい夜だったにもかかわらず、お二人はお車の中に一度も入らず、立ちっぱなしでお火葬を見守り続けておられました。
お二人には、もうチーコがお膝に乗ってくることはないと悲しまないでほしいです。楽しかった想い出の数々が必ずやご姉妹のこころをいつしか癒してくれるはず ー 私たちはそう信じています。