ココちゃんは天寿を全うした美しいグレーと白の毛並みの18歳の猫ちゃんです。
遠い日のこと、こちらのご夫妻の元に一匹の迷い猫としてふと現れたココちゃんはそのままお二人の家族の一員となりました。
ご夫妻はご自宅から少し離れた場所でお仕事をされており、普段、ココちゃんはお家でひとりお留守番をしていました。けれども加齢とともに体調を崩しがちになると、ご夫妻は「そばにおいておきたい」と営まれておられるお店に毎日、ココちゃんを連れてこられるようになりました。
こうしてココちゃんはご夫妻のお仕事を見守りながら「看板猫」として訪れるお客様とも触れ合いながらたくさんの温かい時間を過ごすようになったのでした。
かつては8キロもあった体も少しずつほっそりとし 筋力も落ちてきていたココちゃん。それでも自分でお水を飲んだりと最後まで穏やかに日々を過ごしました。特にお気に入りだったのはたっぷりとお水の入ったタライから飲むこと ―― その姿はココちゃんらしい優雅さとこだわりに満ちていたといいます。
ご夫妻とともに歩んだ日々のなかには数えきれないほどの優しい記憶が詰まっていますが、お旅立ちの時もまたお二人の温かい愛情に包まれながらも愛おしい思い出の一頁を静かに刻んでくれました。
ご夫妻とココちゃんはお店が営業準備に入る前にお店の前でお別れし、私どもがココちゃんをお預かりして車はお火葬場所へと向かいました。車がお店を離れ動き出すとサイドミラーにはお二人の寂しそうなお姿が映り込みました。長きに渡り夫唱婦随で頑張っておられる優しいご夫妻。ほんの少しお会いしただけなのにお二人の温かさが私どもにもじんじんと伝わってくるのですから長く一緒だったココちゃんはほんとうに幸せだったことでしょう。
ココちゃん。素敵なご縁に恵まれ、素晴らしい猫生を過ごしたね。お二人がいつまでも健やかに過ごせるようこれからも見守っていてね。ご夫妻の温かさの余韻のままに炉内に眠るココちゃんにそっと心の声を届ける私達でありました。
ココちゃんのご冥福をお祈りいたします。