額乙丸町のビーグル、永遠(とわ)ちゃん、推定17歳が旅立ちました。

永遠ちゃんは、あの未曾有の出来事、東日本大震災の大津波を潜り抜けてきました。あの日、津波にのみ込まれた街のなか、永遠ちゃんは大好きだった飼い主様と離れ離れになってしまったのです。どれほど怖く、どれほど心細い時間を過ごしたことでしょう。人を怖がり、なかなか心を開くことも出来ず、一度は殺処分寸前のところまで追い込まれたこともありました。ボランティアの方々も思しき避難所を全て訪ね、永遠ちゃんの飼い主を懸命に探してくれたそうですが、とうとう飼い主は見つからなかったのです。
それでも - まだ若いこの子には生きる道を残してあげてもいいのではないか - そう願ったボランティアの方々の手によって永遠ちゃんの命は救い上げられました。その後、ご縁に導かれた永遠ちゃんは、遠く福島県から石川県へと、今のお母様の元へとはるばるやってきたのです。まさに第二の犬生の始まりでした。
最初、人を信じることが難しかった永遠ちゃん。しかし、お母様をはじめ たくさんの方の優しさに触れ、多くの人の温もりに包まれる日々を過ごす中、やがて誰からも愛される、とても人懐こい子へと成長していきました。
福島から石川へ来た頃には、震災を生き抜いた命としてテレビにも出演し、「災害を乗り越えたワンコ」として多くの方から声をかけてもらいました。永遠ちゃんの存在はほんとうにたくさんの人に勇気を与え、皆の心に深く残るものだったのです。

最後のお見送りは自宅からほど近い高台にてとり行いました。台地を渡る風が名残雪を運んでお二人の肩を濡らしています。程なく永遠ちゃんは大好きなお母様とご友人に見守られる中、春の空へと静かに上って行きました。名残雪を降らせるなんて。。永遠ちゃん、ぎりぎりまでお母様のそばを離れたくなかったの?
そして、天国で福島の飼い主様に再会した永遠ちゃんはきっとこう伝えるのではないでしょうか。
「石川でね、とっても優しいお母さんに出逢えたよ。たくさんの人に名前を呼んでもらって、たくさん撫でてもらって、とても幸せに暮らしていたんだよ」と。
永遠ちゃん。どうか福島の飼い主様に石川で過ごした日々のことを、そしてお母様からもらったたくさんの愛の経験を、ゆっくり、たくさんお話ししてあげてくださいね。
永遠ちゃんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
追伸
あの日から15年。当時、残されたペットちゃんがどのような境遇にあり、どのような経緯のなかで、どのような結末に至ったのかについては多くの記録が残されています。
悲しい運命を辿るペットちゃんが多くいたなか、心優しいお母様に出逢った永遠ちゃんはほんとうに幸運だったと思います。小さな命が歩んできた道は、決して悲しみだけではなく、人の優しさと愛に何度も抱きとめられた 尊くもかけがえのない物語でした。もしかしたら、どんな時も希望を捨てず 未来に向けて歩むことの大事さを私たちに教えてくれているのかもしれません。





