お仕事日録

パグのブーちゃん、ハルちゃんのいる空に

「またお火葬をおねがいしたいのですが・・・」
お電話の主は、昨日ラブラドールのミックス犬ハルちゃんのご葬儀にお伺いさせていただいたお宅の奥様からでした。

「ブーちゃんが亡くなって。。」
私は一瞬、言葉を失いました。

 

昨日お伺いさせていただいたばかりなのに。。ブーちゃんとは、酸素マスクを付けながらお嬢様の膝の上で寝ていたあのブーちゃんです。ハルちゃんのご葬儀中 大きな鼾をかいていたので最初はぐっすりと眠っているのかと思っていました。が、そうではなかったのです。ブーちゃんはあの時すでに生死の境にいたのでしょうか。大きな悲しみの中にあるご家族様をこれ以上悲しませたくない、ブーちゃんにはその思いもあって皆と一緒にハルちゃんを見送りながらも精一杯生きようと頑張っていたのだとしたら - それにしても、まさかハルちゃんのご葬儀の次の日にブーちゃんをお見送りすることになろうとは。。夢にも思いませんでした。ご家族様の事を思うと胸が締め付けられます。

 

ご自宅にはお電話をいただいたその日にお伺いさせていただきました。向かう車中 どうご家族様にお声かけをしたらよいのか言葉も見つからないままとうとうご自宅の前に着いてしまいます。静かなお部屋には昨日同様、ご主人奥様、お嬢様がお待ちでした。ブーちゃんは安らかなお顔で横たわっています。亡くなった原因はお口の中に出来たメラノーマでした。リンパ節や肺へ転移することもある悪性の腫瘍です。それでずっと息が出来ずに苦しかったのですね。ブーちゃんは家族以外の人に体を触られることが大嫌いでした。なので、私どもによるお拭き清めの儀は取り止めることにしました。もちろん飼い主であるお嬢様自らの手で隅々まで既に拭き清められおりました。ブーちゃんにとってはお嬢様は誰よりも安心して身を任せることの出来る存在であり、お嬢様の手指は何にも代えがたい安らぎなのです。頑張ったご褒美だね。ブーちゃん。

 

お火葬はハルちゃんの時と同じ場所でとり行いました。ご家族様にも見守られる中、ブーちゃんは空へと駆け上がっていきます。庭の花々もさよならを告げるように風に揺れています。 ・・ 天国からハルちゃんとともにご家族様をお見守りください ・・ 私は雲間へと向かうブーちゃんにお願いしました。