お仕事日録

マルチーズのそらくん、そらいろの空に

マルチーズのそらくんが旅立ちました。

 

ご連絡を受けて伺ったそらくんの飼い主様のご自宅はかつてお火葬のご依頼を賜り出向いたことのあるマンションにありました。自宅を訪ねると若いご夫妻が迎えてくださいました。そらくんは奥様の腕の中 とても安らかなお顔を見せています。享年12歳。小さな体でこのお歳まで本当に頑張りました。

 

そらくんは生後3ケ月でブリーダーさんの元からこちらのお家にやってきました。それから12年と7ケ月、ご家族様の愛に包まれ過ごした一生でした。筋肉質でムキムキ、食欲も旺盛で 亡くなる前日までご飯を自分で食べてくれたのだそう。奥様曰く、そらくんはまさにご飯大好きワンコちゃんでした。

 

駐車場でのご出棺に立合われた奥様、目に涙をいっぱい溜めておられます。辛いお気持ちを堪えながら私どもを気遣って優しい笑顔で応対なさる奥様にスタッフは見かねて奥様のお背中を擦っています。そらくん、とうとう お別れの時がきてしまったね。でも安心して!すぐにお二人の元に返してあげるから ー

 

 

そらくんを乗せて再び雪の中、もと来た道へと車を走らせます。振り返れば、この日はまさに大雪警報の最中。早朝より車庫前を除雪し お火葬車の出動に備えてはおりました。しかしながら、昨夜からの道路状況を鑑み、思案の末、この度は一般車両でお迎えさせていただいたのでした。過去に大変なドカ雪の中、お火葬車を出庫させ、道中、雪の轍に嵌って抜け出せなくなってしまった苦い経験もあり、また、たとえ無事にお迎えできたとしてもこの雪の中ではお火葬に適した場所が見つかる保証もありません。私どもとしても、その万が一を考え、またご夫妻にはこれら諸事情をご理解いただいたうえでこの小型車両でのお迎えをご了承いただいていたのです。

 

お火葬が始まりました。ご焼骨の間も雪は間断なく降り続いていました。それが、ようやくご焼骨が終わってご拾骨を始める段になると不思議に周囲がぱっと明るくなりました。空を見上げると薄暗い雲が割れて、なんと青空が顔を出しています。私には、そらくんが無事に天国に行けたことを私どもに知らせてくれたように思えました。7月2日生まれのそらくんらしいお知らせだね。これで雪を気にせずお骨を集めることができそう。有難う、そらくん。空は繋がっているし ご夫妻もきっとあの空 見てくれてたと思うよ。そう。そうなんだよね。何よりも、誰よりも 愛するお二人に知らせたかったんだよね、そらくんは。

 

 

奥様へ。 ご懐妊されているとお聞きしました。そらくんは、あの空よりご家族様、そして奥様に授かった新しい命 その育みを必ずや見守ってくれることと存じます。くれぐれもお身体 大切にお過ごしください。