お仕事日録

ニック!僕がそばにいるよ。トイプードルのリーフ君

「我が家のプードルが亡くなりました」

 

お電話いただいたのは、二日前、ラブラドールレトリバーのニック君のご葬儀に参列されていた女性からでした。あの日、ご焼骨後のお骨上げにも参加され、ニック君のお骨を小さな分骨壺に収めてご自宅に持ち帰られたニック君のママのご友人、その方からのご依頼でした。悲しみが全く冷めやらぬ間にご自身の愛犬まで失ってしまうとは ー 悲哀の連鎖にご家族様ならずとも胸が詰まってまいります。

 

亡くなったのはトイプードルのリーフ君。16歳。老衰でありました。ママさんがニック君のご葬儀からご自宅に戻られた時にはかなり衰弱が進んでおり、その後、ご家族様に看取られながらリーフ君は静かに息を引き取りました。心よりお悔やみ申し上げます。

 

リーフ君のママさんとニック君のママさんは元盲導犬だったニック君のお陰で繋がったお友達です。盲導犬協会は様々なボランティア活動を行っていますが、おそらくお二人はそんなボランティア活動やチャリティーイベントを通じてお知り合いになられたのではないかと存じます。お二人 其れの愛犬、リーフ君とニック君もまたママさん等同様、とっても仲良しでした。

 

ご葬儀には、ママさん、パパさん、おばあちゃま。そして、二日前にお会いしたばかりのニック君のママさんとお嬢さん、あの日お火葬車にいきなり乗り込んできたファラちゃんもいます。盲導犬のハウエル君と飼い主様もあの日同様、ご参列くださいました。素敵なご縁で繋がったお仲間がリーフ君のお別れに集い、ママさんは棺かごの中の白装束に包まれたリーフ君にお花を手向けられました。

 

リーフ君が亡くなったと知らされて、私は最初、ニック君が一緒に連れて行ったのかもしれないと思いました。ママさんも冷たくなったリーフ君を前にして「ニック君、これ以上連れて行かないでね」とおっしゃっていました。ニック君のご葬送禄にも書かせていただきましたが、ニック君はとっても寂しがり屋さんだったのです。ママさんはそのことをよく知っているのです。

 

私は抹香をつまみ香炉に落として今一度、棺かごの中のリーフ君に目を向けました。 ―  ニック!僕がそばに行くよ、向こうで君が寂しくないように ―   リーフ君の安らかな寝顔に彼の亡くなる直前の思いが伝わってまいります。そうか、君が決めたんだね。私は目を閉じ、哀しいけれどもご家族様と別れることを決めた老いたリーフ君の覚悟に思いを馳せ、再び手を合わせ 安らかなれと祈るのでした。

 

リーフ君。みんなと繋がっていることが嬉しいね。今日も 皆さん、こぞってお別れに来てくれたね。もうどこにいたって寂しくないね。大好きなニック君と一緒に天国でたくさん、たくさん遊んでね!

 

 

お写真は、リーフ君とニック君。笑っているようなリーフ君が愛おしくなりますね。リーフ君はニック君の分骨されたお骨壷のお隣に座ることになるのかな。