お仕事日録

19歳のミニチュアダックスフント 花音ちゃんの旅立ち

ミニチュアダックスフントの花音ちゃんが旅立ちました。

 

ご自宅に伺うとママさんがひとりお待ちでした。お通しされたお部屋の奥にはママさんが設えた祭壇があり、花音ちゃんはその前で静かに眠っています。19歳とは思えない艶のあるチャコールの被毛を蓄えた花音ちゃん。祭壇の上のテレビモニターには花音ちゃんが楽しそうにお散歩している様子が映し出されています。お花いっぱいの公園でしょうか、お散歩を楽しむ花音ちゃんとママさんの寛いだ様子が映像から伝わってまいります。花音ちゃんを前にして手を合わす私ども、その耳に聞こえてくるのは心癒される優しいメロディーです。ヨハンパッヘルベルのカノンでした。花音ちゃんが亡くなって一昼夜。ママさんは心置きなく花音ちゃんとのお別れをなされました。いっぱい撫でてさしあげ、たくさんの優しい言葉をお掛けになられたことと思います。

 

カノンちゃんは先住犬のシェルティーが亡くなって寂しくしていたご両親のためにママさんがお家に迎えたワンコちゃんでした。ご両親が笑顔を取り戻されつつあった頃、ママさんがお仕事からお家に戻られると花音ちゃんとは別にもうひとり可愛い仔犬が出迎えてくれました。ご両親がママさんの知らない間に花音ちゃんのお友達として同じミニチュアダックスの仔犬をお家に迎え入れたのです。その後 そらと名付けられたその仔犬と花音ちゃんはママさんの元で家族として17年間にも渡る年月を共に過ごしてきたのです。

 

花音ちゃんはワンコちゃんでは最高齢と言っても過言ではありません。ここ数年、歳を重ねるごとに体が弱くなっていました。また持病もいくつか抱えていたみたいです。それでもお歳なりにつつがなく過ごしていました。ママさんは花音ちゃんとそら君のために毎日の食事にもこだわりました。癌の予防にとキノコを砕いてミートに入れる、腎臓に良いからとカリウムを摂取させるためにお野菜を茹で零したりと食事は全て手作りでした。愛する子のために目一杯、愛情を注いでおられたのです。

 

そんななかでした。寿命が尽きるというのでしょうか、花音ちゃんはママが側にいることを確かめると安心したかのように張りつめた体を緩め、そっと旅立っていきました。老衰で亡くなるペットちゃんの旅立ちはこのように突然やってくることが多いのです。亡くなる前の日、そらくんと一緒にお散歩にも出かけました。その後も普段と変わらずご飯も食べていたのです。いつかやってくるお別れとは知りつつもまさかその日が今日という日になるなんで。ママさんのお心が痛いほど伝わってまいります。

 

花音ちゃんがまだ生後6ケ月の時に行った北海道旅行が忘れられない、、広大なキャンプ場で広い広い原っぱを独り占めして大はしゃぎしていた花音ちゃんの可愛い姿がまるで昨日のことのように思い出されるとママさんは遠くを見つめてお話しくださいました。
花音ちゃんの最期のお別れには姉弟のように育ったそら君も立合ってくれました。花音ちゃんとそら君は長い犬生を共に歩んできました。ママさんはもとよりママさんのご両親に出会いました。ご両親とのお別れもまた共に経験しました。お父様が亡くなり、お母様は今、施設に入居しておられ、会うとことも容易いことではないようです。

 

花音ちゃん!これまで本当に良く頑張ったね。これからは天国のお父様と一緒にママさん、お母様、そしてそら君のことをどうかどうか見守っていてください。