ブラウンの被毛が美しいダックスフントのはなちゃんが旅立ちました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
飼い主さまご夫妻とはなちゃんが出逢ったのは15年前、異国の地 上海でした。当時、ご夫妻はご主人の赴任地である上海に居を構えておられました。知らない外国で寂しい思いをされていた奥さまのためにご主人は可愛いミニチュアダックスフントの仔犬をお家にお迎えされたのです。その子がはなちゃんです。
はなちゃんを迎えられて数か月後、ご主人の帰任が決まりました。急な帰国となったため予防接種の要件が充たされていなかったはなちゃんは泣く泣く上海でひとり預かりの身となるのでした。
「はなはどんなに心細かったことでしょう。置き去りにされたと思っていたかもしれません」奥さまは当時の思いを語られました。はなちゃんも辛かったけれどもはなちゃんを思い遣るご夫妻もまたどんなにお心痛かったことか。やむを得ず先に帰国されたご夫妻でしたが、その5ケ月後、はなちゃんを上海まで迎えに行かれました。
「はなちゃんには5ケ月も待たせてしまったのだから私たちのこともすっかり忘れてしまっているのかもしれない」ご夫妻は上海に向かう飛行機の中 そんな思いを巡らせていました。が、再会を果たした時のはなちゃんは瞬く間にご夫妻を笑顔にさせました。ちぎれんばかりに尾を振ってご夫妻の腕の中に飛び込んできたのです。
帰国されたご夫妻はその後、二人のご息女を授かりました。5人家族となったファミリー、その中で はなちゃんはさしずめ一番上のお姉ちゃんです。ととさま、かかさま、そして可愛い妹たちに囲まれてはなちゃんはとっても幸せな時を過ごしてまいりました。ととさまの転勤で日本のいろんな都市にも行きました。静岡にお住まいの時には伊豆の作家にはなちゃんの木象嵌の似顔絵を作ってもらいました。
ととさまの5度目の転勤で石川県に住まわれて3ケ月、はなちゃんの体調が芳しくありません。腎不全、膵炎との診断を受けて9月には入院することとなりました。老いと病いは はなちゃんの体力を奪い、最後にはかかさまに点滴をしてもらう日々を送ることに。そしてとうとうお別れの時がやってきました。はなちゃんはととさまがお仕事から戻られる時を待って旅立ちました。
お火葬はご自宅近くの公園でとり行いました。時は夕刻。ととさま、かかさま、お嬢ちゃんたちに見守られる中、はなちゃんは夕空へと昇って行きました。ご家族さまにおかれてはお火葬が終わるまでその場を離れずお見送りいただきました。二人のお嬢ちゃんたちはととさまに遊具で遊んでもらったりスタッフと話されているかかさまに抱きつくように甘えたりしながらも辛抱強く待っていてくれました。お星さまにたどり着くまで見守ってくれてと、はなちゃんもきっと喜んでいることと思います。
お骨上げはご自宅に戻りとり行いました。上のお嬢ちゃんは怖いと言ってお部屋に戻られましたが、下のお嬢ちゃんはととさま、かかさまと一緒にお箸を上手に使ってお骨を拾われました。素直で感受性豊かなお嬢ちゃんたち。お二人のお心が育まれてきた中ではなちゃんも大いに貢献してきたのだろうと思います。
はなちゃん。ご家族さまの幸せとお嬢さまたちの健やかなるご成長をこれからも見守っていてね。