お仕事日録

雲になってママに応えたマルチーズのお母さん、ももちゃんの旅立ち

14歳のマルチーズのももちゃんがお口にできたメラノーマで亡くなりました。

 

 

メラノーマとはメラノサイトと呼ばれるメラニン色素を作り出す細胞が由来となった悪性度の高い腫瘍です。多くの場合、歯肉(歯茎)、口唇、舌、硬口蓋(こうこうがい)など口の中の粘膜のあらゆる箇所に発生、増殖力が高くリンパ節等に転移することもある大変怖ろしい病気です。なぜ発症するのかについては未だ解明されていないようです。

 

ももちゃんは3年前にご葬送させていただいたロングコートチワワ、ギルバート君のお友達でした。ギルバート君のご葬送も雪の深いこの時期でしたが、今日は昨月降り積もった路肩の雪もすっかり消え、時折冷たい風が吹いてはくるもののお火葬には問題のないお天気になりました。

 

お待ち合わせの場所に到着すると飼い主様はお車の中で すでに待機されておられました。ご家族様は飼い主であるお母様とご子息様のお二人でした。またお二人に連れられて2匹のワンちゃんも来てくれました。こちらの2匹はももちゃんのご主人犬と息子犬だそうで、ももちゃんにはこちらのご主人犬との間にこの子を含めて3匹の子供がいるとのことでした。お話をお聞きする限り病気になるまでのももちゃんは立派にお母さんをやっていたみたいです。

 

お拭き清めは火葬車の横に台を設置し とり行いました。お火葬も引き続き同じ場所で行います。ご納棺、ご家族様と最後のお別れです。お母様はももちゃんに最後に言葉を掛けられました。「ももちゃん、天国でお父さんとギルバートちゃんとお散歩してね!母さんはももちゃんのご主人と息子のお世話をしないといけないからもう少し待っててね」

 

炉は閉じられ火が入ります。立ち昇るももちゃんの後を追いかけるお母様の視線。その先には大きな白い雲がひとつ浮かんでいます。そしてその雲は野原を駆けるももちゃんへと姿を変えていきました。「お母さん、ありがとう!行ってくるね!」雲はお母様にそう告げるとまた形を変えながら空の向こうへと流れて行きました。

 

ギルバートちゃんのご葬送の時と同様、「お骨上げ」もこの場所でとり行いました。お二人の手により拾われてももちゃんもさぞかし喜んでいることと思います。風が強くてお骨が吹かれはしまいかと心配でしたが、無事に全部のお骨を上げていただくことが出来て私どももほっといたしました。

 

ももちゃん、ママとお兄さんに拾ってもらって良かったね。どうかお二人とファミリーの皆を見守っていてね。ももちゃんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。またご家族様にはご用命いただき誠に有難うございました。

 

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弊社のお骨上げの儀はご自宅の一室をお借りしてとり行うことを基本としています。雨や雪、風などの影響を受けやすく道行く人の視線が気になる飼い主様もおられるという理由からですが、飼い主様にもご事情がお有りですので絶対そうでなければならないということではありません。ももちゃんのケースのように屋外でとり行うことも出来ます。ただし行うにあたっては場所の選定が重要で場所が決まればご家族様にはそこまでご足労いただかねばなりません。