クリームにベージュ柄の被毛を纏ったミックス猫のゆきちゃんが8年間の闘病の末、その生涯を終えました。享年14歳でした。
ゆきちゃんは生まれて間もない仔猫の頃、雪の降る中、お兄ちゃん猫とこちらのお宅の車庫の前で寒さに震えているところ保護されました。2匹の仔猫を見つけられたご家族さまは直ぐに動物病院へと猫たちを連れて行かれました。病院での健康診断でお墨付きをいただいた2匹はそのまま保護されたご家族の一員となるのです。こうして捨てられていた兄妹の仔猫は素敵なご家族と安住の地を得て、一転、お家猫として幸せな毎日を送るようになりました。
数年後、兄猫が癌で亡くなるとゆきちゃんもまた慢性腎不全と診断されます。以後、ゆきちゃんはお母さまに毎日のように点滴をして貰いながら頑張っていたのです。その点滴も最初のうちは嫌がってお母さまを手こずらせていたゆきちゃんでしたが、始めて一年も経つ頃にはおとなしくお座りして受けられるようになったそうです。きっとお母さまの一生懸命さがゆきちゃんに伝わっていたのだと思います。
この日、お通しされたお部屋の奥にはゆきちゃんのゲージのお家(ゲージ)があり、そこに点滴袋が吊るされていました。おそらく亡くなるギリギリまで点滴をしてもらいながら生きようと頑張っていたのでしょう。6年にも及ぶ点滴生活です。点滴を受けるゆきちゃんが大変なのは言うまでもありませんが、ゆきちゃんの容態を気にかけながら点滴を施すお母さまも大変だったと思います。ましてやお母さまからしてみれば、治療のためとはいえ、愛するゆきちゃんの痛々しい姿を目の当たりにし 自らもってそれを施さざるを得なかったのですから。お母さまはいみじくも「この子には深い思い入れがあるのです」と仰いましたが、まさにそうなのだろうと思います。
「お拭き清め」にはお母さまのお友達にもお手伝いいただきました。「お拭き清め」の最中、お父さまがお仕事から戻られ、少しの間、お拭き清めにお加わりいただきました。お父さまは少し目を潤ませながらゆきちゃんの頭をひと撫でされると直ぐにまたお仕事に戻られました。
お火葬はご自宅の玄関の前でとり行いました。ゆきちゃんはお母さまとご友人に見守られる中、青い空へと昇っていきます。
早くして旅立ったお兄ちゃん猫の分まで愛され、お兄ちゃん猫の分までご家族さまに愛を与え続けたゆきちゃんだから。長らく病気と向き合い お母さまと共に闘い続けたゆきちゃんだから。。きっと天国でも神さまにもとっても大事にされることでしょう。
ゆきちゃん。神さまの身許よりお兄ちゃん猫と一緒にどうかお母さまを、ご家族さまを見守っていてください。
余談ではありますが、実はこの度のご葬送の2週間前にこちらのお宅の前の道路を亀が横断しているのを偶然目撃しました。程なく1台の車がやってきてその亀を跨ぐようにして走り去っていきました。あまりに危なっかしいのですぐに車を降りて恐る恐る亀の甲羅を掴んで川に続く草むらまで運んであげたのです。そして本日、偶然にもまさにその道沿いのお家の愛猫ゆきちゃんをご葬送することとなりました。こちらの道路は普段全く通らない道なのですが。。不思議なことってあるものですね。
ゆきちゃんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。