豆柴のりん君、7歳が旅立ちました。
ご葬送にご自宅に伺うとりん君はリビングの一角でとっても安らかなお顔をみせて横になっていました。それはまるで眠っているかのようでした。凛としたお顔の中にどこか安らかな笑みを湛えているようなお顔でありました。
ご自宅にはお母さまとお爺さまとお婆さま。お父さまは私どもがご自宅に到着した直後にお仕事からお戻りになられました。
りん君に手を合わせご家族様にはお悔やみ申し上げた私どもではありましたが、ご家族さまの沈痛な面持ちに色々とお聞きすることは出来ませんでした。無理もありません。お申込書には、リン君、7歳という若さで癌に冒され 今こうしてここに永遠の眠りに着いているのです。ご家族様には、悔しくて悔しくてたまらない、そんなお気持ちをお持ちなのではないでしょうか。
厳かな雰囲気のなか「お拭き清め」が始まりました。その間、お母さまからはりん君の最期の時のお話を言葉少なではありましたが、お聞きすることが出来ました。リン君は大腸と小腸の間に腺癌が見つかり手術したとのことで、回復を待っている最中でした。手術後は徐々に回復に向かっていたようで、ニ~三日前までは排泄もご飯もひとりで出来るほどに元気になっていたのです。それがここにきてまた急に精気を失ってきたようでした。とてつもなく暑い日が続きていましたし、そんなことももしかしたら術後の状態を急変させることになったのでしょうか。
亡くなるその日、夏休みでご子息がりん君の様子を気にしながらお隣の椅子に腰かけられていました。が、ご子息さまがほんの少しだけ目を離された間にりん君は急逝しまうのです。ご子息が側にいることで安らかな気持ちのままに病気と闘うことをあきらめたのでしょうか、りん君はご自宅のお気に入りのあの場所で静かにその生涯の幕を引いたのでした。
でもここにりん君がみせるお顔は、ご家族様と過ごした優しい日々を振り返りながらあの瞬間を迎えたような優しさと美しさを湛えているのです。
お火葬はご自宅の駐車場でとり行いました。炉の中で眠るりんのお顔はあくまで美しく、「家族になれてほんとに良かった、お父さん、お母さん。体を大事に過ごしてね、お爺ちゃま、お婆ちゃま。いつも遊んでくれたお兄ちゃん、ありがとう」 りん君の思いの数だけ夜空の星が瞬いて私どもに確かにそう伝えてくるのでした。
ご家族様には心よりお悔やみ申し上げます。そしてりん君自らも祈ってくれるね、ご家族さまが一日も早く悲しみの淵より解き放たれますようにと。
りん君のご冥福を心よりお祈り申し上げます。