お仕事日録

11歳のパピヨン、ミクちゃんの旅立ち

11歳のパピヨンの女の子、みくちゃん。

 

 

くりっとした瞳が愛らしくどこか気品のある美しい子でした。いつも元気いっぱいで、ご家族にとってかけがえのない存在でした。

 

だから、こんなにも突然にお別れが訪れるなんて ・・・ お母さまもお嬢さまも誰ひとり、思いもしなかったのです。

 

病院で点滴を受け、お昼には迎えに行くはずだったあの日。しかながら、その前にかかってきた一本の電話 ―「急変しました」 ― と。

 

あまりに急なことで、すぐには現実として受け止めることができなかったお母さま。言うまでもありません、ついさっきまで また一緒に過ごせると信じていたのですから。

 

お火葬のご依頼をいただいた際、お母さまは「亡くなってから三日が経ちました」とお話しくださいました。それは、只、時間が過ぎたということではなく、みくちゃんとのお別れに向き合うための、それはもう大切な時間だったのでしょう。すぐには手放せない想い。少しずつ気持ちを整理するための時間。それほどまでに、みくちゃんはご家族にとって大きな存在だったのだと感じました。

ご自宅にお伺いすると、みくちゃんは、毛布に包まれ、まるで眠っているかのような穏やかなお顔をしています。その傍らで、そっと寄り添うようにみくちゃんの寝顔を静かに見つめるお母さまとお嬢さま。その眼差しには深い愛情と言葉にならない想いが込められていました。

 

みくちゃんはたくさんの幸せな時間をご家族とともに過ごしましたが、きっと最後を迎えるその瞬間に至るまでご家族皆に愛され 大切にされていたことを全身で感じていたのではないでしょうか。安らかなお顔が物語っているのです。

 

みくちゃんが残してくれた思い出のひとつひとつは、これからもお母さまとお嬢さまの心の中で生き続けることと思います。とは言え、今はまだ、悲しみの涙なくして振り返ることは出来ないかもしれません。それでもその楽しかった思い出の数々が今日のこの日の悲しみをいずれ陵駕し、ご家族さまがこれからも心豊かなままに過ごされるための命の糧となる日が必ずや訪れる。私どもはそう信じています。

 

みくちゃん。この青い空の向こう、どうか安らかにお眠りください。