お仕事日録

癒し担当のサム君

チワワのサムのお家は自営業者さん。地域の方々に憩いの場を提供するご商売をしておられます。お火葬のご依頼を受けて飼い主様のお店の裏の目立たない場所で待たせていただくことになりました。お待ちしていると程なくサム君であろう小さなご遺体を抱いたお若いご主人とご家族様がお見えになりました。強面のお父様に、優しそうなお母様、飼い主様であるしっかりしたご主人、働き盛りのご兄弟、そしてお嫁さんほか ご家族の皆様がお出向きいただきました。

 

お店の駐車場にもひっきりなしにお客様の車が出入りしており、地域の多くの方々にとても愛されているお店であること、そしてご家族様全員が力を合わせご商売を切り盛りされておられることは私どもにもすぐに分かります。そんななか、皆様 各々にその忙しい合間を縫ってこうしてサム君との最後のお別れにファミリー総出でお立合いいただいていることにいかにサム君が皆に愛されているのかが伝わってくるのでした。

 

ご遺体の拭き清めも同じ場所で行いました。日向にいると額に汗が滲んできます。拭き清めから納棺まで20分程でしょうか、その間も皆様でずっとお見守り続けてくださったのです。

 

ご遺体を炉に納め扉を閉めると言葉少なであったお父様の目は赤くなり、その目蓋には光るものがありました。ぐっと堪えておられるようにもお見受けしました。多分、このお父様の頑張りがこのお店をここまでにしてきたのでしょう。そして私どもまでに礼儀正しく接して下さったご子息であるご主人、お火葬の間にお飲み物を届けてくださった優しいご兄弟に接し、自営業はこうあるべきという言葉では尽くせない何かを私どもに教えていただいたような気がしております。また、そのファミリーの一員としてファミリーの心の癒し担当を任されていたサム君なのだと思います。皆のアイドル サム君よ。15年間、本当に有難う。幸せだったね。

 

ご家族様へ。 ご商売の益々のご発展を心よりお祈りいたしております。

 

 

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