お仕事日録

迷い猫のシャー

優しいご家族に出会えることのできた一匹の猫ちゃんがいました。名前はシャーと言います。シャーというのは、今回、そのシャー君のお火葬を依頼されたご主人が付けた名前です。ご主人が初めてその猫ちゃんをお家に招き入れた際、毛を逆立てながら「シャー」と唸りご主人を威嚇し、そこからご主人は猫にシャーという名を付けました。

 

実は、このシャー、ご主人のお家の周囲をいつもうろうろしていた迷い猫ちゃんなのです。路地に面する駐車スペースの隅に巣を作ってそこを寝床にしているようでもありました。ご一家にはお家の中で飼っている猫ちゃんもいて、この迷い猫をそっと見守るだけでお家に入れることはしませんでした。しかし、徐々に迷い猫ちゃんの身体の具合が芳しくないことに気付いたご主人は病院に連れて行きます。診断は腎臓病。その後、ご主人と奥様はお家のなかでお薬を与えながら看病しておられました。それから、3ケ月、看病の甲斐なくシャーは旅立ちます。出会って半年、一緒にお家で過ごしたのはほんの数か月。その間、シャーは徐々にご主人に懐くようになり、最後には足元について回るまでになりました。

 

 

ご家族様とお話をさせていただきたなかで私どもが感じたのはご主人の優しさです。ご主人の身振り、お言葉の端々から嘘や偽りのない真の優しさが滲み出ておられるです。そして ご主人の気持ちを誰よりも理解しておられる奥様、お嬢様がいらしゃいます。 シャーがどんな経緯で迷い猫になってしまったかは誰にも分かりません。生まれてこのかた辛い経験もあったやもしれません。それでもこれまでひとり強く生き抜いてきました。神様は、そんなシャーに、ご主人様たちとの出逢いを最後にプレゼントされたのだろうと思っています。

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